手に入ったもの
秋空 脱兎
確認したら総プレイ時間が700時間を越えていました。
2020年6月30日。
この日、仕事がなくなった。
いやハッキリ書いちゃおう。
試用期間いっぱいでクビになった。
原因は二つあって、九割は私の勉強能力不足。残りは、
まあその辺はいいのよ、どこまで書いていいか判らないからこれ以上書けないし。恥ずかしくて思い出したくないし。本題じゃないし。
私の名前? 教えない。
え、味気ない? じゃあ……『
まあ、それはそれとして。
晴れて仕事がなくなり、短い自由時間を得る事になった私はというと──、
動画見る事くらいしか楽しい事がなくなってしまった。
Twitterは見たくなかったし、外には食べ物買いに行く以外で出る気がしなかったし(マスクが勿体無かった)、腰を据えてゲーム遊ぶほどの気力は湧かなかったし。
流石にマズイなあと考えても、解決策は思い浮かばないし、どうしたものか。
そう思いながら毎日を無為に過ごしてる内に、ある動画を見つけた。
名前だけは前から知っていた、落ちものパズル(仮に『KAKUNI99-98』としておく)の動画だった。
知っている情報と違ったのは、インターネット対戦で一度に九十八人を倒して一位になる事を目的としていた事だ。
見ている内に、私もやってみたいと思うようになった。
調べたらダウンロードして遊ぶようだったので、コンビニで値段分のプリペイドカードを買ってきた。すぐにダウンロードした。
毎日何時間かやってれば自然と強くなるでしょ、くらいの感覚で遊び始めた。
実際は、かなり細やかなテクニックがいくつもあって、めちゃくちゃ強い人はそれを使いこなしていると、だいぶ経ってから知る事になったけど。
最初はあっという間に負けていた。
毎日遊ぶ内に、五十位代、四十位代、三十位代と、安定して生き残る事が出来るようになっていった。
それからしばらく経った……正確な日にちは忘れてしまったけど、2020年の末くらいの頃だっただろうか。
ついに一位を取った。
嬉しかった。
語彙がないけど、そんな感じだったと思う。
という事で、数少ないしかもささやかな成功体験となった『KAKUNI99-98』は、今の私にとって一先ずの精神安定剤めいた要素になってると思う……たぶん。
家族にまた何か言われるんじゃないかとか、眠れないとか、もう就職出来ないんじゃないかとか、次の瞬間には死ぬかもしれないとか、お金が凄い勢いで無くなっていくとか、嫌な思い出とか、自己嫌悪とか、遊んでる間はそういう不安をあまり思い出さなくて済む。
あまりと書いたのは、嫌な記憶が蒸し返されて叫びそうになる事もあるから。というか叫んだ。辛い。からいじゃなくてつらい。かぞくにいったところできにしすぎとかあなたまじめすぎるからとかほざいてくるし。いうんじゃなかった。
ぁ? 人のせいにすんな?
……ふふ。
よそうか。
これが、私が色々失って、代わりに手に入れたもの。
日によって『波』があるけど、ちょっとゲームが上手になった(?)。
今日も遊ぶ、明日も遊ぶ。仕事は探してる。
失ったものと得たもので釣り合いが取れてない?
いいんだよ、別に。
手に入ったもの 秋空 脱兎 @ameh
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