おうち時間 KAC20211

渋谷かな

第1話 おうち時間 KAC20211

チュンチュン。

 雀の鳴き声が朝を伝える。

「zzz。」

 まだ幼女は夢の中。

コケコッコー!

 ニワトリが鳴いた。

「zzz。」

 まだまだ幼女は夢の中。

ガタガタガター!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 道路工事が始まった。

「zzz。」

 まだまだまだ幼女は夢の中・・・・・・。

ズドーン!

 宇宙から地球に隕石が落下した。

「ふあ~! よく寝た。」

 ようやく目が覚めた幼女の名前は佐藤ポン子。ニックネームは、ポーちゃん。小学一年生の6才。

「・・・・・・。もう一回寝よう。」

 そしてポーちゃんは伝説になった。

「こらー! ポーちゃん何を睡眠無双してるのよ! 早くおきなさい! 学校に遅刻してるわよ!」

 そこにポーちゃんの母親がやって来る。

「うぎゃ!?」

 布団からつまみ出されるポーちゃん。

「酷いわ!? あんまりよ! 私の二度寝をかけてゴットカードで勝負よ!」

「いいわよ。私、絶対に負けないので。」

 ニコッと不敵に笑うポーちゃんママ。

「ゴットカード・ファイト!」

 ゴットカード・バトルが始まる。


 ポーちゃんのゴットカード。歩兵1枚。

 ポーちゃんママのゴットカード。ドラゴン1枚。その他たくさんの魔物たち。


「ギャアアアアアアー! やられた!」

 まだ幼いポーちゃんのゴットカードは強くないので、お母さんにコテンパンにやられた。最初からポーちゃんに勝てる見込みはなかった。

「さっさと着替えて学校に行きなさい。」

「は~い。」

 小学生は辛いポーちゃんであった。


「おはよう。あれ? まだお父さんいたの?」

 ポーちゃんが着替えて食卓に来ると仕事に行っているはずの父親がいた。

「リストラされて無職になったから、家で引きこもるしかないんでよね。アルバイトの求人すらないし。」

 ポーちゃんのお父さんは失業中であった。

「そんなことよりポーちゃん。朝からゴットカードで遊ぼう!」

「わ~い!」

 ポーちゃんはしっかりした母親ではなく、ダメな父親に似たみたいだ。

「ゴットカード・ファイト!」

 ゴットカード・バトルが始まる。


 ポーちゃんのゴットカード。歩兵さん1枚。

 お父さんのゴットカード。人食い巨人1枚。その他たくさんの魔物たち。


「ギャアアアアアアー! また負けた!」

 まだ幼いポーちゃんがお父さんにも勝てる見込みはなかった。

「でも、これで2ポイントだもん。」

 ゴットカードは弱者救済のために戦闘に参加するだけでポイントがもらえる。

「ポーちゃん。お父さんなんかと遊んでいないで早くご飯を食べて学校に行ってらっしゃい。」

「は~い。」

 ゴットカード・バトルで負けたポーちゃんはお母さんの言うことを聞かなければいけなかった。

「そうよ。それでいいのよ。この世界は全てゴットカードが決めるんだから。フォフォフォー!」

 宇宙人のように笑うポーちゃんママ。

「クソッ。いつか私も強くなってやる。」

 今は弱くてもポーちゃんは諦めていなかった。


「ただいま。」

 そこにポーちゃんの兄のポン太が帰ってきた。

「おかえりなさい。」

「なんでお兄ちゃんが帰って来るの? さては早退したな。」

「違うわい! 高校は中間テストだから昼までだ!」

 ポーちゃんの兄は高校一年生の16才。

「そういうポーは何で家にいるんだ? 小学校は?」

「今日は小学校は昼からなの。給食を食べる時間に間に合えばいいのよ。」

 これはポーちゃんの哲学である。

「そんな訳ないでしょ! ポーちゃん! 早く学校に行きなさい!」

「は~い。」

 渋々、冒険の旅に出抱えるポーちゃん。

「ちょっと待って。ポー。お兄ちゃんとゴットカード・バトルしようぜ。」

「嫌だ。給食の時間に遅れちゃうから。」

 兄よりも給食が大切なポーちゃんだった。

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