第2話

 万華鏡は死ぬ病。急ぎ狂う獣となりて、駅の墨壺忘れゆく。下肢が消えた、燻製の、あらゆる棺の忘れゆく。釉薬微かな完全の、紐に酔って敷く布団。下を見る晴れた世の誰ぞ、皮剥いでルスト、罪となる。

 出来て四千四十年。進みは遅く、未だ無い。知らず病の狂う女が、大きく転げて見る日まで。

 古き伝えの始め神、光によって成る柱。尾を引く耳の四つ足の、鼻の高い動くもの。種蒔き芽吹くいくつもの、取って取られて茂る船。

 村から町へ、光あり。二つの木のある主な神、倣って創るひとの種。

 ひとがあれば戦いが、あって大きく火が燃える。居ぬ者たちが割って入る、死ぬに分かれて暴虐の。

 下見る主の嘆くこと、かざす手を取る我が主、殺して我らの哀れなる。

 元の鞘来る狼の、属する変えて家に塗る。増えて野に増え内に増え、三百三十一の山。

 それは都合のいい丘と、示して楽する木もあらず。偶像拝む集団の、どこに由来の沖にある。描く奴隷の司る、聖なるものと東向き。ひとに無いものを持つ耳の、自然に関わる秘密の子。

 雪降る山の数ありて、持たぬ育む古い痕。後の祭りは後にして、異なる希釈の常識を。三つに分かれた集まりの、一つと多くと二つある。我らの威のある範囲さえ、二つ重ねて見る雲の。

 悪の橋架かる不器用な、秘密の先の後の横。楽あるものは苦がありて、頼るものは存も無し。降りかかる槍の刺さる地で、雷防ぐ愚かなる。

 怒る忘却皺寄せて、殺めすぎたと悔いる秋。世のため分ける葉の数と、集まる数の同じもの。崩れた塔の落ちる石、頭に被せて守るもの。取れぬ疎通に諦めついて、別れ旅立つ親子たち。

 祖たるものの異なるは、常の異なるものとして。守る飯とか親だとか、因果の通じて分けること。

 色に分かれた支族あれ、一つが島に渡り来た。諸族の知らして得る権威、西から来る者従える。羽の嘆きの国があり、削る先端仕切る雨。

 感情のある目の動く、読んで社会の能がある。賢いものと評するは、同じく被って芽吹いた芽。達した者は観測の、振る舞うだけの偽りの。

 神となったことは無し、されど神だと思い込む。等しく食べた種がある。手が空く種類の猿の群れ、神を名乗って守るもの。一部と気づかず引いて見て、我らの愚かを嘆く門。神を信じぬ者たちが、借りて名乗るは神の御名。超えた者には団栗の、威張って背を見るものとして。

 再び落ちる槍の先、最期の景色を見ることと。今度の末は途絶える脈の、諦して滅ぼす雷の。多くの常識の語り口、諦観する主の手の先に、救いの現る訳も無し。

 万華鏡は、いざ知らず。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

万華鏡のスケッチ クーイ @kuieleph

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ