万華鏡のスケッチ
クーイ
第1話
万華鏡は散る定め。ひとの作った籠城は、一度目とは限らない。永久に流れる海の地で、絶えて生まれて織る布は。
出来て一万二十年。そこは極致と思われた。王の知る世の裂く我は、王が居ぬとも知らぬまま。
全て見通す目を突いて、卒塔婆の野望を螺旋した。開かぬ埒を投げ捨てて、革命のとき崩れ去る。終わるものは全てあり、始まるものも全てあり。そこで途切れぬ糸だった。
満ちて落ちうる翌の生地。巫女が割る骨、陽が昇り、落ちた中の花に書く。真の神が触れた風、故に枯れた以前の日。
用意された滅び来て、まっすぐ進むこともなく。神の術があるならば、運命さえも捻じ曲げた。希望が死んだその先で、偽りを以て戸を閉じた。
エニアの生まれた世界では、余が地はゼロとイチの柵。滅ぶ機会も失って、硝子に閉じた赤い箱。
雲の上でもない世界、橋の上にもない世界。見下ろす者は鉄の斧、六時の方を向いた西。神話と言われる語り部は、知らない話を継いできた。家畜を持った思想家は、上下の境も手に入れた。似ても似つかぬそのゼロは、意外に似ているひとのもの。
全能ではない者たちも、使役してみれば全能で、先を知らない者たちは、それを全てと思い込む。神の全ては神の主の、一部の力で層となる。無限に続く階層は、未だ広がり落ちていく。
玉のように光あり、海と地を分けた鉾の先。罪を背負った者たちも、いずれその先で鉾を取る。輪のように廻り転び生み、祖たる常識を学ぶあと。息の意味に目を開き、求める答えはどこに無く。探したものを投げ捨てて、知った範囲の常識を、創った家畜に探させた。
沈むたびに遠くなり、浮かぶたびに近くなる。ならば飛んでみようかと、思った者の灯は消えた。壁は薄く割れそうで、向こうが見える紙のよう。されど鋼鉄の靭性で、破ることは消えること。沈みきった底の底、新たな光が見えてくる。宇宙は広く何もなく、地底は深く重すぎた。
空を知らした次のこと、踏む大地の底を見る。地から目指した恒星は、そのつま先の遥か下。
自らを知らず他を見る、難い地殻を割り進む。並んで食べる木の果実、かつて犯した罪を知る。何も見えぬままで食い、自ら吹き消す愚かさに。
万華鏡は、いざ知らず。
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