第5話 小満~キスの日~

「ヒロカワさん、今日はキスの日だそうです」

 コイツはまた、何をとち狂った事をぬかしてんだ。

「キス、沢山ですよ!」

 !?!?!?!?!?

「ヒロカワさんはキス、お嫌いですか?」


 うん、知ってた。

 このパターンってどっかにあったっけ。

 ggrの面倒だし、もういいや。

 今回は時間が無いんだ…って、自分は何を言わされているんだ…


「はい、どうぞ召し上がって下さい。鱚の天麩羅!塩でも天つゆでも、お好きな方で」

 何だこの、オッサンのつまらん駄洒落のような流れは…

「釣りたてを直ぐ揚げたので物凄く美味しいですよ!今の時期食べ頃の食材は何かと聞いたら、沢山釣って持って来て頂いたんですよ。有難いですね~…どうかされましたか?無の表情になってますよ、ほらあれ、チベットスナギツネとかいう生物。チベスナ顔ってのですか、ほんと、どうかされましたか?」

「…い、頂きます…」


 アツアツで山盛りの鱚の天麩羅を塩で食す。出来立てを冷まさずに頂けるのが嬉しい。ほくほくとした食感に、ビールが堪らなく進む。

 次は天つゆで食す。じゅわ~、と淡泊な白身につゆをたっぷり浸した安定の味は、ビールが間違いなく進む。

 箸休めに用意された叩きキュウリを間に挟むと、エンドレスでいけそうだ。


 はふはふはふ、ゴクゴク。パリッパリッ、ゴクゴク。はふはふはふ、ゴクゴク。

 うん、キスの日最高!!!

 

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