第160話 冥王復活
「二人ともお楽しみの所、悪いですが、一大事です。」
タマが俺に告げる。
俺が顔を上げるとそこにはもう一人の俺が弱々しくいた。
「お前は・・・」
「まさか、このような術があるとは・・・抜かったわ!」
もう一人の俺は息も絶え絶え、何とか持ちこたえているようだった。
「貴方は何者です!何故陰の気から人が出てくるのですか!」
タマは警戒し、薙刀を構えている。
「我は冥王ハデス、そこのアベルの前身よ。まさかこのような形で外に出るとは・・・
しかし、これはこれで好都合アベルの身体を気にせず動ける。」
「なっ!ここから出れるとでも!」
「ふん、この程度の結界、今の我には無理でも・・・」
ハデスは何やら唱えたと思うと、地面に魔法陣が現れた。
「・・・おお!我が主よ、ついに顕現なされたのですね。」
魔法陣から現れたのはタナトスだった!
「タナトス、まずはこの結界を破壊しろ。」
「かしこまりました。」
タナトスが指を鳴らすと結界が壊れる。
「ふぅ、これで一息つける、タナトスよ、我の欠片はあるか?」
「現在捜索中にございます。」
「仕方ない、早く見つけよ。
どうやら復活には失敗したようでな、だいぶ力を失ってしまった。」
「なんと!おいたわしや・・・そこの人間どものせいですな!」
「待て、アベルを殺すことは許さん、まだ魂が繋がっておるようでな、本体のあれを殺すと我が死ぬ。」
「ぐっ!ならば周囲のものなら問題ないのですな?」
「構わん、消してしまえ。」
「ハッ!」
タナトスが剣を呼び出し斬ろうとするが・・・
「貴様がタナトスか?」
テルトラが剣を受け止める。
「何?私の剣を受け止めるとは・・・」
「何を驚いておる、その程度子供でも出来よう。」
「なめるな!」
タナトスが剣を振るうがテルトラは難なくさばく。
「我が毘沙門天の力を見よ!」
テルトラが剣を振るうと大地が割れ、大気が裂け、タナトスを襲う。
後ろにハデスがいるタナトスは避けることも出来ず受け止める。
全力を用いて防ぎきったタナトスは・・・
「貴様は人間か?」
「当たり前の事を聞くでない、それより、よくも我が子をいたぶってくれたな、我が天に代わって仕置きをしてやろう。」
「いや、貴方の子供じゃないんですが?」
俺の疑問は置いておかれ、
テルトラは怒りに任せて剣を振るう。
襲いくる剣戟にハデスが指示をだす。
「タナトス退け、奴は異常だ!」
「ハッ!!勝負は預ける、またの機会に闘おうぞ!」
タナトスは魔法で爆発を起こし、その隙にハデスを抱えて逃げていく。
テルトラはアベル達を爆風から守っていた。為に、ハデス達に追撃することが出来なかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます