第152話 首都にて!

ユミナを寺に預けた後、領内は一応の安定をもたらす。

ユグドラシルの人達も婚約者ですら寺に押し込まれると聞き、反抗的な態度は一応鳴りを潜める、

本心はわからないが・・・



「アベル、伯父さんに会いにいくわよ。」

国内が安定を見せつつある中、サチから首都行きを言われる。


「伯父さんに会いにか・・・そうだね、伯父さんも母さんに会いたがってるはずだよ。

早く行ってあげるべきだったよね。」


「まあ、いろいろあったから・・・

あと、王宮にある財宝もあさるわよ。

あそこには神代から伝わるアイテムもあったはず、きっと役に立つものがあるはずよ。」


「そうなの?」


「ええ、いろんな物があるからね。

アベルの身体を治すのもきっとあるわよ。」


「とりあえず、向かおうか。ドウセツ留守は任せるよ。」

「はっ、お任せあれ。」


ドウセツに留守を任せ、俺とサチは首都キョウに向かう。


「サチ、よくぞ無事で・・・」

ヨシテルはサチに会うなり涙を流し抱き締めていた。

「お兄ちゃん、痛いよ、加減してよ。」

「すまん。」

ヨシテルは手を離す。


「改めて、ただいま、心配かけたけど無事に帰ってきました。」


兄弟が再会している中・・・


「アベル、動けなくなったんだって?」

「なんだよ、ヨシタツ。嬉しそうにして!」

「そうよ、お兄ちゃん不謹慎よ!」

セイも不謹慎なヨシタツに怒りをあらわにする。


「いや、どうせ動けないなら玉座に座る仕事を紹介してやるよ。」

「はぁ?何を言ってるんだ?」

「何、頭は動くんだろ?問題ないじゃないか。」

「問題しかないだろ!」

「それにセイと結ばれてるのだから、血筋もサチさんと親父で最高の組み合わせだしな。

これで俺は晴れて自由の身だ。」


「母さん、伯父さん!ここに頭のおかしな奴がいる。」

俺はヨシタツの暴走を止める為に二人に声をかけた。


「あら、その子がお兄ちゃんの息子?」

「そうだよ、伯父さんの息子のヨシタツ、王の座を巡って争っているんだ。(押し付け合い)」

「初めまして、おば・・・サチ様、甥のヨシタツにございます。

どうでしょう、アベルに王になってもらうのは?」

「ダメよそんなの、王なんてしんどい仕事、可愛い息子にやらせられないわ!」

「サチ!お兄ちゃんならいいのか!」

ヨシテルが騒ぎだす。


「だって、継承権が上だったのお兄ちゃんじゃない!私やアベルは下だからね、仕方ないのよ。」

「確かにサチ様と父上なら仕方なかったのかも知れませんが、私の代だと、アベルとセイの組み合わせがあります。

サチ様の息子とセイの組み合わせ、国民も受け入れ易いかと。」

「お兄ちゃん、なんで私とアベルの組み合わせが決定してるの!」

「・・・出発した時の事を忘れたのか?」

「出発?なんのことよ!」

「二人で乳繰合っていたじゃないか。国民の前で致すか普通?」


「・・・な、なんのことよ。」

「妹が女の顔をする姿を見るとは・・・せめて室内でやれよ。」

「だから、なんのことかな?かな?」

セイはシラをきってるが、顔が真っ赤になっており、動揺が一目瞭然であった。


「ちょっと、何の話?」

事情を知らないサチが聞いてくるが・・・

「わーーー!聞かないでください!」

セイは慌てて静止する。

「うむ、実はな王都を出立する際にアベルとセイはお互いの身体を貪りながら出発したという話だ。」

「お父様!何で知って・・・何の事かな!」

「ふふ、娘の成長を見られて私としては嬉しかったわ。」

ハルも嬉しそうに会話に入ってくる。

「お母様!・・・もしかして見てました?」

「勿論よ、残念ながら大事な所の顔はアベルの胸元に顔を押し付けていたせいで見えませんでしたけどね。」

「よ、よかった・・・じゃない!そんな事してません!」

「隠さなくてもいいのよ、身体がビクビクしてたじゃない♪いっちゃったの?」

「お母様!何を言ってるのですか!」


「えっ?えっ?セイちゃん馬車の上でしてたの???」

ハルとセイが話している中、ヨシタツから事情を聞いたサチは驚愕していた。

「サチ様!聞かないでください!」

「ねえ、アベルはちゃんと出来ていた?」

「何を聞いているのですか!」

「気持ち良くしてくれたか聞いてるの!」

「・・・はい、じゃない!そんな事聞かないでください!」

セイは叫び続けていた。


「サチ、どうだセイとアベルの結婚について異存はあるか?」

「ないわね、でも、いいの?今のアベルはこの身体よ。」

サチはセイに向き、アベルの現状をふまえて聞く。


セイも息を治し。

「サチ様、どんな状態でも、アベルはアベルです。私が助けていけばいいだけですから。」

「うーん、いい子よ。お兄ちゃんの子供には勿体ない、うちの子になりなさい。」

「ええ、なりますよ。アベルのお嫁さんとして。」

「アベルはどうなの?セイちゃんと結婚に意見はある?」

「いや、俺としては嬉しい限りだが、本当にいいのか?

この身体が治るかはわからないぞ?」

「いいのよ、アベルが生きてるだけで私は嬉しいのだからね。」

「セイ、ありがとう。」


「決まりね!お兄ちゃん、結婚式を派手にやりましょう!」

「お、おう。」

サチの勢いにヨシテルは負けていた。


「申し上げます!ウエスギ殿、来訪にございます。」

王家の面々が結婚話でわくなか、ウエスギ家が上京してくる、

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る