第139話 タナトス

「ほう、良い動きだな。」

タナトスは俺の剣を受け止める、

「うおぉぉぉぉ!!!」

しかし、俺は攻撃を止めない、連撃を叩き込む。

「良いぞ!もっとこい!」

タナトスは嬉しそうに受け続ける。


体の損傷を確認しました。

魂を使用しますか?

YES!


スキルから魂の使用許可を聞いてくる。

俺は迷わずYESと答え、更に竜魔法により身体を強化する。

限界をこえた身体からは血が噴き出していたが魂で修復しながら戦い続ける。


「ぬぅ!それは!」

多少タナトスに違う反応がみられた!

ここだ!

俺は最大まで出力を上げた。

俺の全力の攻撃はタナトスの左腕を切り落とした。



「がはぁ!」

俺は大量の血を吐いた。

どうやら限界をこえた代償のようだった。

魂で身体の治療は行っているが、すぐには動けそうにない・・・

魂の残りを確認すると284となっていた、

2万をこえていたのにほとんどなくなっている。

もうさっきの攻撃は出来ない・・・


「な、なんという強運!素晴らしい!」

何故かタナトスは涙を流し、喜んでいるようだった。


「なに?」

「お主、いや、貴方様も蘇られておられたのですね。」

「何の話だ!」

「おお、嘆かわしい覚えておられないのか!

しかし、すぐに思い出していただきます。

少し失礼しますよ。」

タナトスが近付いてくる。


「くっ!」

俺は逃げたくとも身体が動かない。


「アベルさま!」

ムナシゲが駆けてくるが間に合わない。

「さあ、これを・・・」

タナトスが出してきたものは魔力の塊のような物だった。

「なんだ?」

タナトスが出した物にスキルが反応する。


自己の魂を発見しました。

統合します。

選択肢もなく、スキルが勝手に吸収した。


「なっ!ぐっ、ぐわあぁぁぁぁあ!!!」

全身に激痛が走る。

「「アベルさま!」」

ムナシゲとソウゴンの声が聞こえたがそのまま意識を失った。


意識が無くなったアベルを庇うように

ムナシゲとソウゴンが間に入る。

「ムナシゲ、アベルさまをお連れして逃げるのだ、此処はワシが引き受ける。」

ソウゴンはタナトスに立ち向かう。

「ソウゴン殿、すまぬ!」

ムナシゲはアベルを抱えて撤退する。



「おお、なんという忠義、既に良き家臣を手に入れておられるのですな。ただ、実力が足りないのはいただけません。

鍛える必要が御有りですな。」

タナトスはソウゴンを相手に剣で対応する。


「なめるなよ!」

ソウゴンの剣術に対して、タナトスは反射神経だけで対応していた。

「うおぉぉぉぉ!!!」

ソウゴンも連撃を繰り出し、時間を稼ぐ。


しかし、タナトスは反撃をしてこない。

ソウゴンは1度刀を止める。

「何故戦わない!」

「戦えば殺してしまうではないか。我としては主君に叱られるのは嫌だからな。」

「主君?」

「お前達がアベルと呼んでおる者だ。」

「なら、何故戦う。」

「正確には違うからな、まあ近いうちにはな。」


「なんだと!」

「さあ、立ち去るなら追わん、行くがよい。」

「いいのか?」

「目覚めるまでしかと守るのだな、我はこの後、用事があるのでな・・・」


タナトスが見ていたのは王が横たわっていた場所に出来ていた黒い穴だった。

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