第137話 突入中
セイはサチに事情を話し、3人を紹介した。
「アベルを思って戦場まで来てくれるなんて、母として嬉しい限りです。でも、此処は危ないので絶対に離れたらいけませんよ。」
サチは全員に警護をつける。
「でも、アベルが危険とは・・・」
サチは城を眺めつつ、アベルの無事を祈る。
その頃城内では・・・
アベル達は苦戦を強いられていた。
城内の敵は外の敵とは比べ物にならないぐらいに強く、精鋭隊とはいえすんなり進む事は出来なかった。
それに加え、城内が暗くドロッとしたものに覆われており、何処に何があるかもわからない状態になっていた為に敵が何処にいるのかわからず、探し続けていた。
「誰か・・・誰かいないの・・・」
ふと進んでいると声が聞こえてきた。
「誰だ?誰か残っているのか!」
俺が声を上げると返事が返ってくる。
「誰か其処にいるのですか!お願いします。助けてください!」
俺は声が聞こえた部屋を開ける。
すると其処は以前アーサーを治療した部屋で壁とかも以前のままで、ドロッとしたものになっていなかった。
何故此処だけ無事なんだろう?
不思議に思いながら、助けを呼んでいた女性に近付く。
「えーと、無事ですか?」
「あ、あなたは?いったい城で何が起こっているのですか?」
「俺はアベル、オウカ国の者だ、現在この城は魔法陣の効果で魔物がわき出る城になっている。よく無事だったな?」
「わ、私は城の壁がおかしくなってきてすぐにこの部屋に入ったの、窓から外を見ると城が全部おかしいし、扉を開ける勇気もなかったんだけど、ずっと此処にもいれないし、どうしようかと途方にくれていたんです。」
「それで、君の名前を聞かせて貰ってもいいかな?」
「し、失礼しました。ユグドラシル王国、第一王女エアリスと申します。」
「そうかエアリスさんか、それでどうする?俺達はこの城を落としに来たんだ、言わば敵だね。」
「えっ?」
「まあ、アーサーとランスロットはこっち側にいるから、厳密には微妙な所だけど、どうする、降伏すらなら城を落としたあと迎えにくるけど。」
「あの降伏します、でも、一緒に連れて行ってくれないのですか?」
「うーん、この部屋の方が安全そうなんだけどなぁ・・・」
「でも、1人は嫌です!こわいんです!」
「着いて来るのはいいけど安全は保証出来ないし、場合によっては君のお父さんを斬る所を見る事になるよ。」
「それは・・・お父様は私が説得しますから!」
「うーん、上手く説得出来たらいいけど・・・
わかったよ、着いて来たらいいよ、ただし外は残酷で危険な世界だからね、くれぐれも勝手な行動を取らないように。」
「わかりました。」
俺はエアリスを連れて行くことにした。
「よろしいのですか?
かなり足手まといになると思われますが・・・」
ムナシゲは反対そうに聞いてくる。
「見捨てて行くのも違うだろ?
それにこの部屋を見て気付いたんだ。」
「アベルさま?」
俺は浄化魔法を使う。
すると壁のドロッとしたものがなくなり元の壁に変わる。
「やっぱり、これには浄化魔法が効くようだね。」
「さすがです!アベルさま!」
「一度此処で休憩をとるぞ、怪我の手当てと食事にする。」
俺は広めに浄化を行い、兵を中に入れ休ませる。
そして、怪我の治療を行っていく。
「アベルさまもご休憩を!」
ムナシゲは俺を休ませようとするが、
「全員治してから休むよ、食事の準備をお願い。」
兵も満身創痍の者が多く、治療にも時間がかかった・・・
「さて、そろそろ出発しようか。」
全員の治療が終わったのは休憩を始めてから1時間後だった。
その後、さっと食事を取り、出発しようとする、
「アベルさまの休憩が出来てません。」
ムナシゲが指摘してくるが、
「俺は大丈夫、それより外で戦っているみんなが心配だ、先を急ぐよ。」
「しかし!」
「大丈夫だって、それより行くよ。」
俺はムナシゲの言葉を流して、先を急いだ。
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