第135話 援軍!

「援軍だぁ!援軍が来たぞ!」

援軍の存在はすぐに戦場に駆け巡る。


旗を見たドウセツはすぐに軍勢に気付いた。

「ショウウンが来たぞ!皆もう少しだ踏ん張れ!」

ショウウンが来たことに皆が歓喜する。


ショウウンはすかさず空戦隊を使い爆撃を開始、アーサーの軍に被害を出していく。


「な、なんなんだあの部隊は・・・」

竜を使い、弓の届かないところから落とされる爆弾にアーサーの貴族軍はなす術もなく倒されていく。


「ドウセツ、遅くなってすまん!」

爆撃が続けながら、ショウウンが本陣にいるドウセツと合流する。

「ショウウン、助かったがどうして此処に?ノースを落とすには早すぎるだろう?」


「サチさまから緊急連絡があったからな、急ぎ駆けつけたが、だいぶやられたようだな。」

「ああ、見ろあの魔法陣を。」


「なんだあれは?」

「あそこから魔物が生まれているんだ、いくら倒してもキリがない。」

「・・・アベルさまは何処に?」


「魔法陣を止める為に城内にムナシゲと共に向かわれた。」

ショウウンはドウセツの胸ぐらを掴む。

「ドウセツ!何故お止めしなかった!」

「止めたさ!しかし、アベルさまの意志が固かったのだ!我等に出来ることは残った者を纏める事だったのだが・・・」

「なるほど、あの愚か者のせいで苦戦していたと。」

「・・・面目ない。」


サチが安全地から抜け出し、ドウセツの元にくる。

「ショウウン!ありがとう、間に合ったわ!」

「サチさま!」

ショウウンは臣下の礼をとる。


「そんなのはいいから!ドウセツこれでアベルを助けに行けないかしら?」

「・・・難しいかと、かなり兵も消耗しておりますので・・・」

「そんな・・・もう中に入ってだいぶたつのよ、援護に行かないと・・・」

周囲に重い空気が流れる・・・


「チェストーーー!!」

遠くから声が聞こえてくる。

サチ達が振り向くと海の方向から敵を蹴散らし此方に向かって来ている、オウカの旗を立てた軍が来ていた。


指揮官がサチの前に跪き涙を流す。

「サチさま、よくぞご無事で・・・我々はサチさまのお陰で今や子供が飢えで死なない国を作ることができました。

ありがとうございます。ありがとうございます。」


「ヨシヒロ殿!」

あまりの泣きったぷりにドウセツが驚きのあまり声をかける。


「ヨシヒロ・・・シマズの?あら、大きくなったわね。」

「サチさま!覚えておいででございましたか・・・」

ヨシヒロは涙を流し続ける。


「ヨシヒロ!1人で抜け駆けするな!サチさま、ヨシヒサにございます。」

「兄上!私もご挨拶を!イエヒサにございます。昔、お菓子を頂いたイエヒサです。」


「ヨシヒサも元気そうね、

あらあら、イエヒサくんも大きくなって、それに随分逞しくなって・・・」

「はい!誰にも負けない武勇を得たと自負しております!」

サチはシマズの兄弟と軍勢を見て考えつく。


「ヨシヒサ、ヨシヒロ、イエヒサくん。

図々しい頼みになるのだけど、どうか私の息子のアベルを助けていただけないでしょうか?

あの城内に突入してだいぶたつのですが、安否が不明なのです。

どうか援護に行ってもらえませんか?」

サチは深く頭を下げ頼み込む。


「サチさま!」

「私達だけじゃ力が足りないの、どうかお願いします。息子を、アベルをお願いします。」

サチは涙を流し頼む。ヨシヒサはサチの手を取り。

「お顔をおあげください。我等シマズはサチさまに返しきれぬ恩があります。

頭を下げずとも命令して下さればよいのです。」

「ヨシヒサ、お願いします。そして、シマズの皆さんどうか息子の救出をお願いいたします。」

サチの願いにシマズ兵は雰囲気が変わる。


ヨシヒロが代表して檄を飛ばす。

「聞いたか!サチ様が涙を流しての頼みだ!

必ずアベルさまをお救いするぞ!

スキル修羅道発動!

全軍突撃!!」

「「おおーーー!!!」」

猛り狂ったシマズの突撃が始まる。


突っ込んで行くシマズを見送っていたが1つの不安があった。

他国での戦に勝手にシマズが来て良かったのだろうか?

サチはアベルの為とはいえ、巻き込んでよかったのか悩みだす。


「サチさまですよね?」

セイがサチに声をかけた。

「あなたは?」

「私はミナモト・セイ、ヨシテルの娘でサチさまの姪になります。」

「あら、お兄ちゃんにこんな大きな娘が出来ていたなんて。

よく顔を見させて、うん、お兄ちゃんに似なくて美人さんだね。」

「ありがとうございます。おば・・・お義母様」

セイはおばさんと言おうとして訂正したが訂正の仕方も間違っていた。

「お義母様?もしかして、アベルのお嫁さん?」

「・・・ま、まだなんですが、たぶんそうなるかなぁ~と。」

「あら、何かあったの?」

「実は・・・」

それはシマズの出兵にも関わる話であった。


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