第125話 サチの境遇
魔族が到着する前に俺はサチに話を聞く。
「母さん、何があったのか教えてくれないか?」
サチも涙を拭い話始める。
「そうね、何から話したらいいのかしら・・・アベル、私に前世の記憶があるって言ったら信じる?」
「前世の記憶?」
「そう、生まれる前の記憶ね。その記憶だと、私は此処じゃない別の世界で若くして死んじゃったの。それを神さまがこの世界でもう一度人生をやり直しなさいって、この世界に来たの。」
「アマテラスさまですか?」
「あれ?アベルも知ってるの?」
「母さんが生きてると教えてくれたのはアマテラスさまです。」
「そうなんだ、あの方はお優しい方だから・・・
まあ、産まれてからも色々あったんだけどお父さん、アベルからしたらお爺ちゃん、が亡くなったあと、私を王にする動きがあったの。
そのまま残っていたらお兄ちゃんと殺し合う未来が想像できたからか、国を出ることにしたのよ、それでユグドラシルに来たんだけど、
そこで前世の彼氏、タクトにあったの・・・
タクトは別の神に呼ばれて、この世界に来てたわ。
世界を救うという使命を持って。
私はタクトのことを凄く好きだったから、協力することにしたの、この大陸を回って、各地の魔族を討伐して・・・
そうしたら、私はタクトとの子を授かったの・・・
それがアベル貴方よ。
でも、身重の私は戦いに出ることは出来ないから、パーティーを抜けて出産することになったの。
無事に出産は果たしたのだけど、今度はタクトが魔界で苦戦していると聞いたの・・・
タクトを死なせたくない私は急いで救援に向かいたかった、でも、貴方を連れて行くことも出来ないから・・・貴方を孤児院に預けたの、タクトを助けてすぐに迎えに来ればいいと思って。
でも、魔界の敵は強くて、私が合流しても苦戦する状況は変わらなかった。
そんな時、奴等が現れたの。」
「奴等?」
「魔族の王を名乗る奴よ。名前はパズズ、私達は奴を倒そうと襲撃をかけた時、奴の四人の部下がタクトに奇襲をかけたの。
タクトは手傷をおいながらも充分に戦ったわ。でも、タクトが連れていた仲間の1人が裏切った・・・
そいつは私が抜けた後に加入した魔法使いでマーリンといったわ、私は直接の関わりは少ないから良く知らないのだけど・・・
マーリンは最前線で戦うタクトに魔法を放ち拘束して、命乞いをしたの、タクトの命を渡すから自分を見逃してくれと・・・
パズズは愉快そうにその申し出を受けたわ、ただ、生きて帰ったら人間界に戦乱を巻き起こせと、出来ていなかったら始末すると言っていたわ。
マーリンはそれを承諾すると一目散に逃げて行った・・・
そして、残された私達は必死で戦ったけど、戦いの要だったタクトが動けずに最初にやられてしまったから・・・
あとはショウに守られながら此処まで逃げて来たのだけど、このまま魔族を外に出す訳にもいかず、此処で試作の魔道具で時を止めたの、これなら誰も通行出来ないからね。
私が話せるのはこんなところかな・・・」
サチは悲しそうに涙を流していた・・・
「ごめん、母さん辛い思いを話させて、でも、父さんはタクトって言うんだね。」
「そうよ、アベル。あなたはタクトにそっくりよ、お父さん似なのね。」
「いや、母さんの面影があるって言われたのだけど。」
「私達、2人の子供だから2人に似ているのよ。」
サチの話を聞いていたドウセツ達も涙を流していた。
そんな中で、魔族が現れる・・・
俺達の殺意がそいつに向かった!
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