第124話 救出
「えっ、なに?失敗したの?」
サチは時が動き出した事に混乱しているようだった。
「サチさま!お下がりを!」
ムナシゲがサチに迫っていた魔族を神速の槍さばきで始末していく。
「えっ、だれ?ってムナシゲくん?」
サチは成長しているムナシゲに混乱している。
「下がれ、下朗!おのれらが触れてよい御方ではないわ!」
ムナシゲに続きドウセツも刀を振るい魔族を切り捨てていく。
「ドウセツなの?老けたね~」
「サチさま、相変わらずですな、すぐに片付けますのでどうかお休みを。」
ムナシゲ、ドウセツの2人が魔族を押し返す。
「サチさま、此方へ。手当てを行います。」
「ありがとう、ちょ、ちょっと、お姫様だっこは恥ずかしい。」
サイゾウはサチを抱き抱え、アベルの元に、
「えっ、誰?・・・もしかして、私の子供?
えっ、嘘、こんなに大きくなって・・・」
サチの瞳に涙が溢れる。
「・・・母さん、今、治すから。」
俺もは回復魔法を使う。
サチの手足が治っていく。
「えっ、手がはえてる?うそっ?足も!」
サチは混乱していたが・・・
俺を見つめてきて・・・
ギュッと抱き締める。
「ありがとう、そして、ごめんね、ほったらかしにしてしまって。
酷い母親だよね・・・でも、立派になってくれて嬉しいよ。
ねぇ、名前を教えてくれる?
私の代わりにあなたを育ててくれた人がつけてくれた名前を。」
「母さん・・・アベルです。育ててくれた人達がつけてくれました。あとヨシテル伯父さんにテルユキの名前を貰いました。」
「兄さんにも会ったんだね。優しくしてくれた?」
「はい!みんな温かく迎えてくれました。全部母さんのおかげです。」
「私は何もしてないよ、ううん、何もしてあげれてない。
大事な大事な、私の可愛い息子なのに母親らしいことばかりか・・・名前すらあげれなかった・・・
こんな、母親を許して。」
サチはもう一度抱き締めてきて、大粒の涙を流す。
「母さん・・・」
俺はもう一度母を抱き締めた。
「・・・あの~治療をお願い出来ないでしょうか?」
いつの間にか母の前で倒れていた男が連れて来られていた。
話しているうちに一応の手当てはサスケが行ったようだった。
「母さん、此方の方は?」
「私の友人でショウというのだけど・・・ちょっと、ショウ!折角の親子の再会なのよ!水を差さないでもらえますか!」
「いやいや、感動シーンなのはわかるよ、でも、ちょっとだけ後にしてくれないかな?」
「なによ!」
「ほら、魔族も来ているし、君の部下も苦戦して・・・して・・・してないね?」
俺はショウに回復魔法をかける。
「ドウセツもムナシゲも強いですから、でも、少し先行しすぎかな?ドウセツ、ムナシゲ、此方は大丈夫だ1度下がれ。」
「「はっ!!」」
ドウセツとムナシゲが奥から出てくる。
そして、二人を追うように魔族が追いかけて来ていた。
「魔導砲発射用意!」
「エネルギー充填120%、いつでも撃てます。」
ドウセツとムナシゲが左右に避けたのを確認して。
「魔導砲発射!」
魔導砲から高出力のアダマンタイト製の弾丸を精製、放たれる!
2人を追いかけていた魔族達の多くが肉片と変わっていた。
「アベルさま!第2射いつでもいけます。」
「少し待て・・・今だ!撃て!」
俺は探知で気配を調べ、近付いて来るのを待ってから放った。
そして、肉片を増やす。
しかし、穴の先からはまだ入って来ようとしている奴等がいる。
「第3射準備完了!」
「撃て!」
先程と同じようにとはいかなかった。
どうやら、受け止めた者が出たらしい。
「ドウセツ、ムナシゲどうやら強者が来るようだ、いけるか?」
「「勿論です。」」
「まだ、距離があるからな、少し休んでいてくれ。」
「第4射撃てますがどうしますか?」
「効くかはわからないけど撃ってみようか。」
「了解!」
すると弾丸は先程より手前で消えた気配がする。
しかし、少しは足が止まるようだ。
「モチヅキ、そのまま撃てるようになったらバンバン撃ってやれ。その間にドウセツ、ムナシゲを休ませれる。」
「はっ!」
「アキツグ、外にいるショウウンと変わって来てくれ。戦力が多い方が良さそうだ。」
「わかりました。」
それから1時間後、俺達の前に1人の魔族が姿を現した、その姿は既にボロボロであった・・・
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