第118話 エンの町
食料援助と引き換えに幾つかの町を傘下に入れつつ、エンの町が近付いてくる。
「ユミナは無事かな?」
俺は最近連絡が無くなったユミナを心配していた。
サイゾウが先行して確認してきたが・・・
「アベルさま、非常に言いにくい状況になっているようです。」
「サイゾウ、どうしたんだ?」
「ハッ!ノースの町は既にサクソンに陥落しており現在エンの町に一万からなる軍勢が向かって来ております。
そして、国軍七千もアーサーを追いエンに向かって来ていまして・・・」
「挟み撃ちかい!」
「はい、せめて国軍はサクソンを叩くべきだと思うのですが・・・」
「この国はバカしかいないのか!他国に攻められている時ぐらいは協力しろよ!」
俺は自分の事を棚に上げていた。
俺はドウセツとムナシゲを呼ぶ、
「ムナシゲ、サクソンに勝てるかい?」
「当たり前です。我が手勢だけで充分にございます。」
「ドウセツ、ユグドラシル国軍に勝てるかい?」
「他愛の無い事です。」
「二人とも蹴散らして来てくれ、アキツグ、エンに向かいハインリッヒさまにアベルが来たと伝えてくれ。対談がしたい。」
「かしこまりました。」
俺の命令の元、三人は動き出す。
ドウセツは兵士に問いかける。
「皆、よく聞け、サチさまの救援に来た我等を邪魔するゴミがおる。どうすべきか言ってみろ!」
「滅殺!」
兵士の目は血走っていた。
「わかっているならいい、後は実行あるのみだ!全軍突撃、1人も生きて返すな!」
ドウセツ率いる三千の軍勢はそのまま突撃を敢行する。
ユグドラシル軍も応戦するが・・・
「なっ!斬れない!ぐわっ!」
「なんなんだ、鎧が役に立たない。」
オウカ軍は古竜から全ての鱗をムシリ取るように奪い取って作った鎧はユグドラシル軍の装備でキズをつけれる物ではなかった。
また、古竜の牙と爪を全て剥ぎ取って作った武器は普通の鉄の鎧など紙同然であった。
この戦争の一番の被害者は古竜かもしれなかった・・・
そして、半日も立たない内にドウセツは帰ってきた。
「ゴミは全部なくなりました。」
ユグドラシル国軍をゴミと表現するドウセツに少しひいていた。
「ああ、見事な力だな。」
「お褒めにあずかり光栄にございます。ムナシゲの奴はまだかかっているのですか!」
「いやいや、まだ半日だよ。」
「あの程度の雑魚、半日もかければ充分にございます。戦後の話し合いも考えれば今日中に片付けなければ1日無駄にしてしまうではないか!アベルさま、私がもう一度行って参ります!」
「いや、帰ったばかりなのだから、少しは休んで、ショウウンとかに任したら・・・」
「いいですな!」
「あい!」
俺は殺伐とした雰囲気のドウセツに反論出来ず、出陣を許可した。
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