第115話 ローエン領
「アーサーさま!どうなされましたか!」
何とかハインリッヒの所にたどり着いたアーサーはボロボロになっていた。
「王都で襲われた・・・多くの者がやられてしまったよ。」
「王都でアーサーさまを?何者が?」
「わからない、ただ、父上に意見して、お叱りを受けたあとだから・・・考えたくはないが・・・」
アーサーは苦しそうな表情を浮かべていた。
「まさか、陛下がアーサーさまを?そんな筈はありません。」
「しかし、父上の様子がおかしかった。特にアベルさんについては夢物語を言っておられた。私がいない内に何があったのだ?」
「アーサーさま、陛下を疑うのはお止めください。きっと疲れているから変な事を考えるのです。さあ、今宵はゆっくりとお休みください。」
ハインリッヒはアーサーを客室に案内して早めに休んでもらった。
「陛下はどうなされたのだ。」
ハインリッヒは悩んでいた。急な増税、アーサーへの襲撃、何が起きているのかわからなかった。
「父上。」
「ユリウスかどうした?」
「サクソンの動きが怪しいとヨシモリが伝えて来ました。」
「何?停戦がなされたのではないのか?」
「またしても、破棄するのでは?我が国の混乱は酷いものですから・・・」
ハインリッヒは頭を抱える。
「防衛は出来るのか・・・」
「厳しいかと、領内も先の戦で疲弊しておりますし、増税の後ですから、募兵も上手くいかないかと。」
「そうなるよな・・・とはいえ、やらん訳にもいくまい、それにサクソンも疲弊しておろう。ヨシモリに命じて防衛軍を編成、ノースのジャックと共に防衛してもらおう。」
苦しい所だが軍を編成して、事にあたる。
ローエン家は長年の内政が功を奏して、まだ、財務に余裕があった為に何とか軍を作れた、
しかし、ユグドラシル国内は全国的な不作となっており、ローエン領内でも、食料は多くは無かった。
それを軍に回す為に買い漁った為、領内でも貧しい者から食べ物が手に入らない事態となっていくのであった。
ユグドラシル国内の混乱は日に日に増していく中、
アベルの先遣隊チカヨシはユグドラシルの田舎の何も無い海岸に到着する。
そして、屯田兵達の全力を持ってその地に港と倉庫、宿舎、そして、城壁を二週間で完成させる。そして、時間があれば宿舎と倉庫を立て続けていた。
タケヨシはその地に食料と軍事物資を大量に運び込む。
屯田兵が建てる倉庫をすぐに満タンにしていく速度だった。
出陣を決めてから2ヶ月、アベルは再びユグドラシルの地に立つのであった。
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