第110話 モル、アベルをバカにする
「あら、アベルさん、可愛い側室は此処にもいますよ。」
アリアは豊満な胸を押し付けてくる。
「ちょっと!アリア、何してるの!」
モルと話していたリリーが戻ってくる。
「だって、アベルって、王族で此処の領主でしょ?せっかく知り合いなんだから玉の輿を狙わないと。」
「ダメです!アベルさんが困ってますから、はーなーれーてー」
リリーはアリアを離そうとする。
「あら、アベルさんは満更でもないんでしょ?ねっ?」
アリアは胸をギュッと当ててくる。
凄く柔らかい。
「アベルさん?」
リリーと目があった。
俺は即座に答える!
「えんざいです!」
「何がでしょう?まだ、何も言ってませんよ?」
「い、いや、何でしょうね・・・」
冷や汗が止まらない。
「あら、アベルさんを威圧なんてダメよ、アベルさんが豊かさを求めるのは仕方ないのだからね。」
アリアはリリーを煽っている。
非常に楽しそうだ。
「アリア!はなれてよ!アベルさんは無い方が好きなんだから!」
「あらあら、そうなのかしら?」
アリアさんに聞かれて、
俺はまたも即座に答える。
「えんざいです!」
「だって、リリーある方がいいって。」
リリーはブツブツ言い出した。
「そんなことないもん、アベルさんの周りは無い人、多いもん。ユリアさまとかルルちゃんとかセイさまとかマルカちゃんとかエリーゼちゃんとか・・・」
「まてぇ!そのなかに何でマルカとエリーゼを混ぜる!」
「だって、エリーゼちゃんとお風呂に入ろうとしたってセイさまから聞いたもん。」
「いやいや、妹と入るのは変じゃないし、エリーゼはまだまだ子供じゃないか?」
「だって、可愛がってるし、マルカちゃんなんてお嫁さんになってもいいなんて言わせてるし!」
「人聞きの悪いことを言うなぁ!」
「アベルさん、そんな趣味が・・・」
「アリアさんも何で信じてるの!」
「うう、私の豊満な体じゃ、リリーに勝てないのね。」
アリアはわざとらしく、崩れ落ちる。
「やっとわかった?アリアあきらめて。」
「わかったわ!アベルさんをマトモな道に戻すのが私の役目なのね!」
使命に目覚めたように宣言する。
「お願いあきらめてよ!」
リリーが一生懸命諦めるように説得しているが、アリアはそれを楽しんでいるようだった。
「アベル!お前はリリーだけじゃなくアリアにも迷惑をかけているのか!」
モルが抗議をしてきた。
「モルさん、別に何もしてませんよ。ただ二人がじゃれてるだけですよ。」
「何を言ってるんだ!二人はいつも仲がいいのにお前が絡むとすぐに言い争いになる!
もう二人と関わるな!この無能が!!」
無能の言葉に周囲の兵士は剣に手をかけている。
「モルさん、そろそろ、その無能は止めてもらっていいかな?言われて気分がいいものじゃないんだよ。」
「無能に無能と言って何が悪い!お前なんてカインとマインに付きまとってランクを上げたゲス野郎じゃねぇか!」
「・・・もう一度言うよ、これ以上言うのは止めろ。もう俺は冒険者でも無いし、お前もギルド職員でもないんだ。
我慢する理由もないぞ?」
「何を言ってる、ここで襲えばお前が犯罪者だ!罪を犯す気か?だからお前は無能なんだ!」
唾を吐きかけてきた。
「はぁ、リリーさん、何でコイツを連れてきたの?」
だいぶ怒ってる事に気づいたリリーは言葉を選びながら話す。
「アベルさん、落ち着いて。アリアに声をかけた時に一緒にいて、同じ職員だし、見捨てるのもどうかと思って・・・」
「この無能!何をリリーに泣きついてやがる、リリーもこんなゴミみたいな奴相手にする必要なんてない。こっちに来い。」
モルはリリーを引き寄せようとした。
「リリー」
俺はモルに掴まれる前にリリーを自分に引き寄せる。
「誰に手を出している?その理解の少ない頭に教えてやる。
リリーは俺の女だ、リリーが連れて来たから我慢はしていたが、手を出してくるなら話は別だ。」
「何だと!お前こそリリーから手を離せ!リリーは俺と結ばれて王族になるんだ!言わば俺は未来の王子だぞ、その俺に歯向かっていいと思っているのか!」
「・・・リリー、コイツ、どれだけバカなんだ?」
「私も驚いているの・・・なんでこんな勘違いを・・・」
モルのバカさ加減に二人でタメ息が漏れた・・・
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