第108話 魔道具工房
今日はセイと魔道具工房に視察に来ていた。
「此処で魔道具を作っているのですか?」
俺は案内をしてくれているムナシゲに聞く。
「はい、サチさまの一番弟子のゲンナイさんがやっている工房です。オウカにおいて一番の工房です。」
俺は説明を聞いて中に入る。
「失礼します、ゲンナイさんはいらっしゃいますか?」
「ワシがゲンナイです。アベルさま、むさ苦しい所によくぞお越しくださいました。
たいしたおもてなしは出来ませんがどうぞ此方へ。」
俺はゲンナイに案内され客間に通される。
「本日は魔道具作成の視察ということですが、何をお作りしましょう?」
「そうですね、見学させてもらえますか?」
「かまいません、存分に御覧ください。」
工房に入り、ゲンナイは魔道砲を見せる。
「ゲンナイさん、これは何でしょう?」
「これは魔道砲と呼ばれるもので魔力で鉄を生成し打ち出す物にございます。」
「へぇー凄いものがあるんですね。」
「ええ、サチさまがお考えになられ私に作り方を教えていただきました。ここの魔石の加工とこの回路の作成が難しく現在サチさまが作られていた型と同等の物を作れるのは私だけとなっております。」
「じゃあ、他の人が作ったら?」
「そうですね、他の工房だと岩を飛ばすのが精一杯と聞いております。」
俺は魔道砲を見ながらふと思った。
「これって、最大の大きさはどれぐらいなの?」
「えっ?このサイズが規格にございます。サチさまがお作りになられたのもこの大きさにございました。」
「ゲンナイさん、技術は追い抜いていかないと、母を慕うのは解るけど、母を追い抜く物を作ってこそ、母は喜ぶと思います。」
「・・・そうでございます。サチさまはよく言われておられました。
早く私を追い抜けと・・・
それなのに私は現状に満足して・・・」
ゲンナイは涙を流し出した。
「ゲンナイさん、落ち着いて。泣くことはないよ。それに今からでも遅くないよ、母を越えてしまおうよ。」
「はい、すいません、噺を遮ってしまいましたね。アベルさまはどのようなサイズをお考えですか?」
「これを何倍にも大きくしたら、威力と射程のびたりしないかな?」
「・・・いけると思います、いや、魔力が、足りないのか・・・」
ゲンナイは紙にいろいろな計算しただす。
「魔力が足りないなら、複数人で貯めるとかはどうですか?」
「それだ!いける!いけます!」
ゲンナイは興奮している。
「じゃあ、研究お願いします。出来たら打ち出す力も強化して今より威力のあるものにしてみてください。」
「ふははは・・・アベルさまは欲張りな方だ、だが、実にいい。アベルさまの要望に答えて見せましょう!」
ゲンナイは楽しそうに図面をひきだした。
俺達は邪魔をしないように魔道具工房を出るのであった。
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