第107話 アベル修行中

俺は剣の修行と平行して、スキルの訓練も行う。

特に新たに覚えた竜魔法は使用が難しかった。

使用をすると自身に竜の力が宿るようなのだが、加減が難しく、動くだけで勢いがつきすぎて壁に激突するといった感じだった。


「アベル、大丈夫?」

セイは訓練を心配してずっと見ててくれてる。


「大丈夫、体も頑丈になるしね。ただ、難しいね。加減が出来ないんだよ。」

「身体強化系のスキルとは違うの?」

「同じ系統だと思うけど、出力が違いすぎてる。」

「ねぇ、無理に覚えなくてもいいんじゃない?壁に突っ込んで行くのを見るのは心臓に悪いよ。」

「好きで突っ込んでいるんじゃないだけどなぁ~」


「おにいちゃん、あそぼ。」

セイと話ながら休憩していると

エリーゼがやってくる。


「エリーゼ、にいちゃんは訓練中なんだよ。ちょっと待っててもらえるかな?」

「やっ!おにいちゃんであそぶの!」


「エリーゼ、わがままを言ったら・・・って?俺であそぶの?」

「うん♪かべにぶつかるおにいちゃんにプレゼント。」

エリーゼは藁に入った納豆を俺の体につけていく。


「くんれん、どうぞ~♪」

「エリーゼ!」


「それでぶつかると・・・ねばねば?」

「ねばねばになるよ!」

「ねばねばきらい?」

「きらいだよ。」

「なら、ぶつからないでね。」


「うっ!」

「もし、ねばねばになってもエリーゼがたべるからね。」


俺は訓練を再会するが、案の定、壁に向かって行く・・・

「くそっ!ぶつかってたまるか!」


俺は体を捻り、足裏を壁に向ける。

そして、壁を蹴りぶつかることを阻止できた。

「やった!」


蹴ったあと、俺は元の場所に戻るが・・・止まらない。

足を地面につけているが勢いが止まりきらずセイにぶつかる。

「ごめん、セイ。」

ほとんど勢いは止まっていたとはいえセイと抱き合う形で倒れ込んでしまった。


「アベル~ねばねばする~」

俺とセイの間にあった納豆が漏れ二人をねばねばにしていた。

「うえっ、ごめん。」


「もう・・・」

俺とセイが身を起こしていると横から箸がのびてきた。


俺が振り向くと・・・

エリーゼがご飯を持って待っていた。


「納豆、もったいない、わたしがたべる。」

「エリーゼ、汚いから食べないの。」

「たべものをそまつにしたらダメなのよ。」

「それなら使っちゃダメだろ!」

「はっ!きづかなかった。おにいちゃん、あたまいい。」

「エリーゼ、いいかい。次からは食べ物を粗末にしたらダメだよ。ってやった俺が言っても説得力ないか。」


「アベルそれよりお風呂行こうよ。ってエリーゼちゃん、食べないの。」

「エリーゼ納豆すきなの~」

「ダメだからね。」

「じゃあ、おにいちゃんの納豆たべる。」

エリーゼは俺の納豆を食べ始める、


「ダメだよ。」

「うー、それより、エリーゼも納豆まみれになったじゃないか、ほら、お風呂に行くよ。」

「はーい。」

俺はエリーゼの手をひき風呂に向かう。


「ちょっと、アベル、何を普通にエリーゼちゃんを連れて行ってるの?」

「えっ?風呂に入れないとダメだろ?」

「おにいちゃんとおふろ♪」


「ダメです、エリーゼちゃん、わたしと一緒に入ろ?女の子は男の子と一緒に入らないものなのよ。」


「そうなの?でも、おにいちゃんといっしょにはいりたい。」


「うーん、でもね、レディは裸は見せちゃダメよ。ほらルルさんはアベルと一緒にお風呂に入らないでしょ?」


「うん、ルルねえちゃんは一緒に入ってないけど、マルカねえちゃんは一緒に入るよ。」

「マルカチャンもダメなのよ。」


「むずかしい、でも、お父さんとお母さんは一緒に入ってるよ。」

「アダさん達一緒に入っているんだ・・・って、夫婦ならいいのよ。」


「うーん、じゃあセイねえちゃんもいっしょにはいろ。」

「うん、そうだね、一緒に入りましょ。」

「うん、おにいちゃんとセイおねえちゃんといっしょにおふろ♪」

エリーゼは上機嫌だった。


「えっ?ちょ、ちょっとエリーゼちゃん、アベルは別だから!」

「だって、セイおねえちゃんはおにいちゃんのおよめさんでしょ?」

「いや、そうなりそうだなと・・・」

「だったら、いっしょにはいるの。」


「・・・アベル!お願いだから説得してよー!」

セイの頼みに2人がかりで説得を行い、何とか別々に入ることが出来た。

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