第102話 母の力

30年前・・・

ヨイの国に来た、サチが最初に行ったのは竜退治であった。


「チカヨシ、私はドラゴンスレイヤーになる!」

「サチさまおやめください!」


「何を言ってるの、この地は竜を倒さないと先が無いのよ、私に着いてきなさい!」

サチはチカヨシが止めるのも気にせず竜の巣穴を目指す。

同行者はチカヨシ、セキシュウ、ドウセツ、ショウウンの四人だった。


巣穴に来ると竜が群れており、近付けそうもなかった。


「サチさま、ここは退きますかな?」

セキシュウが撤退を進言するが・・・


「正面突破に決まっているでしょ!着いてきなさい!」

「サチさま!」

四人はサチに着いていく。


「ショウウン、覚悟を決めよ。ここが我等の死場所ぞ!」

ドウセツは刀を抜きつつ、ショウウンを鼓舞する。


「おうよ!サチさまを守って死ぬのが武士の本懐と見つけたり!!」

ショウウンも覚悟を決め、竜とやり合うつもりだった。


「もう、二人とも、血気盛んすぎ、まずは話し合いだよ・・・

そこのトカゲども!お前らのボスは何処だ!穴の奥で震えているのか?お漏らししてても見てみないフリをしてやるから連れてこい!」

サチは竜のボスを呼ぶように伝える。


ドウセツがサチの心意を聞くと

「サチさま、怒らせるつもりですか?」

「まあね~数が多いときは頭を潰すのが最適でしょ?」


「貴様か!我を侮辱するものは!」

「ほら、出てきた。」


「サチさま、お逃げください、ここは私とショウウンが引き受けます。」

ドウセツが覚悟を決めてサチを逃がそうとするが。


「逃げれると思っているのか!この四大竜が一人、風の神竜を侮辱するとは!」


「へぇーそんな肩書きがあるんだぁ~それで、相談なんだけど、人間を攻撃するのを止めてくれるかな?」


「貴様、話を聞いておらんのか!」


「ふーん、話し合いは無理か・・・じゃあ、仕方ないね。」

サチは1つの玉を竜に投げつけた。

玉は竜に当たると竜の中に溶けて入っていく。


「なんだ?こんな物を我に投げつけて勝てるとでも・・・な、なんだこれは!」

神竜は地面に貼り付く、


「それね、私が作った魔道具なの、昔読んだ漫画を参考にしたんだけど、相手の力を利用して大地に縛り付ける効果があるんだぁ~

ふふふ、どう?動けないでしょ?」


「くっ!ふ、ふざけるなぁ!こんな物!」

神竜は動こうとするが全く身動きが出来ない。


「さて、さっきまで偉そうにしてたけど、よくもまあ、人間様をなめてくれたね。

今までしてきた事を後悔しながら死ぬんだね。」


「だ、だれか!我を助けよ!」

神の声に一匹の竜が動き出すが・・・


「無駄だよ、この地で私に敵意を持つものはお前と同じく地面に貼り付く事になる!」

サチは多くの玉をばらまいた。

すると、動き出したものは当然ながら、まだ、動いて無いものも、地面に貼り付き動きを止めた。


「さて、ここからが私の時間だよ、そこらの竜もよく見ておきな、あんた達のボスが素材に変わる姿をね。」

サチは自分の身の丈以上の長い包丁を取り出す。


「魔道具、通販包丁。

なんでも斬れる優れものだよ。」

サチは神竜に近付き、牙を根本から斬る。


簡単に牙が切り落とされる。

「ぐわっ!や、止めろ!止めないか!」

神竜が制止するが、

「こんなに固いものを斬っても歯こぼれ1つしません。」

サチは気にせず牙を全て切り落とした。


「あんたは人間が止めてくれと言って聞いたの?

止めた事なんてないだろ?

じゃあ、私が止める理由にならないね。」


その後、爪を切り落とされ、鱗を全て剥がされた頃には神竜は涙を流して命乞いをしていた。


「お、お願いです。もう、止めてください、これ以上は死んでしまいます・・・

もう、人間を襲ったりしないのでどうが、どうか・・・」


「信じられないね、私が怖いだけだろ?なにもう少しで解体も終わるからね、楽になれるよ。」


「や、やめてぐだざい、じにだぐない!!」

しかし、サチに命乞いは届かない。


「あんたが殺してきた人間も同じ思いだったんだよ、逆の立場になったからといって助かると思うな!」


その後サチは泣き続ける神竜を坦々と解体していき、全てを素材に変えた。


「さて、あとはあんた達だね・・・」

神竜の血にまみれ、他の竜を見る。


「ど、どうか、命ばかりは・・・お願いします。」


「なら、あんた達、ここで竜の素材を提供しなさい。」


「えっ?」


「私が決めたノルマをこなしたら命は助けてあげる。反対したらそのまま素材になるだけね。あと、全員に魔道具を埋め込むね、人間に危害を加えようと考えたら、死ぬから。」


「そんな!」


「いやなの?なら、そこの偉そうな奴みたいにキロいくらの存在になる?」

サチは神竜の残骸を指差し、決断を迫る


「・・・わかりました。でも、ノルマをこなしたら助けてくれるんですよね。」


「そうだね、様子は見るけど、従順なようなら外にも出してあげる。」

講して竜達は素材を提供する変わりに命を見逃してもらっていた。


その後、ノルマを多く達成したものにはサチが開発した上手い食べ物が報酬として与えられ、竜達が我先に提供し始めるのだった。

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