第99話 リリーと話し合い。
別室に入るとリリーが聞いてくる。
「セイさま、ユミナさまにあそこまで言わなくてもいいのではないですか?
彼女はまだ小さいのですよ。」
「リリーさん、あなたは優しいですね。
でも、私達、貴族に生まれた者には責任があるのです。
国が乱れている時に他国にいるなど許されるものではありません。」
「貴族って・・・」
「それより、今はあなたの事をお話ししましょう。」
セイはリリーをしっかり見つめる。
「私の事ですか?私は別に正妻を狙ったりしてません、アベルさんの傍においていただければ、それだけで充分です。」
「ええ、それなら傍にいてもらってかまいませんよ。アベルの御家族もリリーさんと打ち解けてるみたいですし、リリーさんさえ良ければこちらからお願いします。」
「あのぅ~?それなら何が問題なのでしょう?」
「先程ユミナさんに伝えましたが、ユグドラシル王国は近々戦乱になるでしょう、今の内にお父様をオウカ国にお連れした方がよろしいのではないですか?」
「お父さんを?」
「はい、今なら迎えを出すことも出来ますし、もちろん、引っ越しにかかる費用はオウカ国が持ちます、船も用意します。」
「・・・それほどまずい状況になるんですか?」
「なると思ってます。先程ユミナさんには言いませんでしたが、他の隣国二国もどう出るかわからない所です、一般人に手を出さないと思いたい所ですが・・・」
「そんな・・・」
「ですので、御家族を今の内にオウカに避難させたほうがよろしいですよ。」
「あ、厚かましいお願いですが、友人もお願い出来ないでしょうか!」
「よろしいですよ、リリーさんが誘った友人とその御家族も保護いたしましょう。生活の保証もいたしますので安心してお誘いください。」
「あ、ありがとございます。」
「迎えはどういたしますか?手紙で済むなら使者を出しますが?」
「手紙だと伝わらないかも知れないので・・・私が行くことは出来ますか?」
「もちろんです。しっかり護衛もつけますので安心してください。」
「お願いします。」
リリーは深々頭を下げる。
「ええ、でよ、くれぐれも気をつけて、治安が悪化してると聞きますのでくれぐれもお一人で行動なされないように、必ず護衛と一緒にいてください。」
「はい。」
「それでは準備が出来たらお知らせします。」
「よろしくお願いします。」
こうしてリリーの一時帰国は決まった。
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