第91話 話し合い

チロルを送還し、ヨシヒロの歓待を終えたあと、いろいろな状況報告のために俺は首都キョウに来ていた。


「叔父上、以上が今回の経緯です。」

俺は三家を滅ぼした事を説明した。


「うむ、アベル済まんな、私の家臣が出鱈目をやった為に・・・」


「いえ、叔父上のせいでは無いとわかってますから。それに勝手に戦争をした自分も悪かったです。一度叔父上に連絡するべきでした。」


「うむ、連絡はしてくれよ、私がアベルに不利になるような事はしないからな。」


「ありがとうございます。あとユグドラシル王国から使者が来ていたのですが・・・」

俺はチロルの事も説明する。


「ふむ、アベルの家族に手を出すのは許せんが何の手紙だったのだろうな?普通の使者は手紙だけでも渡すが・・・いや、そもそも普通の使者なら、問題を起こしたりはしないか・・・

まあ、警戒はしておこう。」

ヨシテルはユグドラシルとの関係を見直す事にした。



オウカとユグドラシルの歴史は浅い。

サチが開発した魔道具の力で船の航行能力が向上したお陰で、ユグドラシルへの航路が開発され今にいたる。


オウカが輸入していたものは多くない。

ユグドラシル産の香辛料、鉱物、魔石など、

あればいいが、無くても何とかなるものが多かった。


それに比べ、ユグドラシルが輸入していたものは、

イマハル産の魔道具、ユグドラシルの大陸では手に入らない素材で出来た武具、薬品など軍事力に関係するものが多かった。


そして、国としては互いに港で税をかける以外は特に規制もしていなかったが、

ヨシテルはユグドラシルに対しての輸出入に規制をかける事とする。


軍事力に関わるものの全面的輸出禁止、そして、商人に取引を控えるように通達。

その結果、ユグドラシルとの取引をやめ、サクソン王国とギレン公国との取引を増やし対応。商人の儲けはあまり変わらなかった。


しかし、このことが大陸でのユグドラシルの優位性を失うことに繋がっていくのに、まだユグドラシル王は気付いていなかった。







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