第89話 セイカイ信頼を得る


殴られ、威圧されたチロルは・・・

腰を抜かしていた。

そこに兵士が駆け付けチロルを捕縛、連行していった。


「せいかい、だいじょうぶ、いたくない?」

エリーゼは心配そうにセイカイに寄る。

「エリーゼさん、大丈夫です。鍛えてますから。」


ルルも助けてもらった御礼を言う。

「セイカイさん、ありがとうございます。お陰で私達姉妹ともに助かりました。」

「ルルさんが無事でよかったです。」

セイカイは笑顔でルルに答える。


「セイカイ、漢を見せたな。」

「イサ、良いところは貰ったぞ。」

「俺が間に合いたかったが、よくやったな。」

「おうよ!」

イサはセイカイを褒めながらも、悔しそうにしていた。


その後、ルルは子供達を連れて屋敷にもどる。当然アベルに報告が入る。


「ルル、エリーゼ怪我はないか!」


アベルはあわててルル達の元に走ってくる。

「お兄ちゃん落ち着いて、私達は怪我してないから、それよりセイカイさんが私達を庇って怪我したの・・・」

「おにいちゃん、おねがい、せいかい、なおして。はやく!」

エリーゼは俺の手を引っ張り早く治すようにお願いしてくる。


「セイカイさん、ありがとうございます。

お陰で妹達がケガをしなくて済みました。」


俺は回復魔法でキズを治しながらセイカイに御礼を言う。

「もったいなきお言葉。某の身よりルルさま、エリーゼさまにお怪我がなき事が一番にございます。」


「せいかい、ケガをしたらエリーゼもかなしいよ、だからケガをしないで。」

エリーゼはセイカイの手を握り泣きそうな顔をしていた。


「エリーゼさまには勝てませぬな、次はケガをしないようにお助けいたします。」

「うん。」

泣きそうだったエリーゼの顔に笑顔がもどる。


「セイカイさん、何か欲しいものある?御礼に何かあげたいのだけど。」


「特にはありません・・・いえ、それならばアベルさまの御家族の護衛に私を付けてもらえませんか、今後このような事がないようにお守りいたします。」


「それは此方からお願いしたいけど、それは御礼にならないような・・・」

「いえ、それでかまいません!」

セイカイを決心が固く他の物は入らないと拒否される。


こうして、家族の護衛にセイカイが専属で付くこととなった。


そして、俺はチロルと面会をする。

「チロルとかいったな、よくも俺の家族に剣を向けたな!」


「なっ、あのような平民が家族だと・・・」


「平民で何が悪い、俺自身も最近まで平民だったしな。そんな事より、この不始末どうする気だ。」


「私はユグドラシル王国の伯爵だぞ!このような真似をしてただで済むと思っているのか!」


「ユグドラシル王国がなんだ!俺の家族に手を出すならそんな国は知らん!」


「なに!一領主の分際で国家の関係に口を出すなど越権にも程かあろう。お前がすべきは速やかに私を釈放して、オウカ国王に会わせる事だ。」


「話にならんな、叔父上には私から報告しておく、書状があるなら渡すが?」


「これは私が預かったものだ!オウカ国王以外に渡す気は無い!」


「そうか、ならば、いらん。

その首をハネてもいいところだが、外交使節団ということで罪を軽減してやる。このままユグドラシルに送還とする。連れていけ。」


兵士がチロルを抱えて出て行くところにユミナが走り込んできた・・・

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