第85話 ムナシゲ、チカヨシ暴れる。

「チカヨシ、どっちから行く?」

ムナシゲは先陣をどうするか聞いていた。

「俺達からでいいか?アイツら押さえれそうにない。」

「そんなに酷いのか?」

「ああ、アベルさまを認めずサチさまの領地を奪おうなんて真似、許容出来ないらしい。」

「まあ、俺達も許容出来ないが・・・」

「まあ、任せてくれ。」

屯田兵が先陣をきる。


最初に攻めたのは国境の砦だった。

「やれ。」

チカヨシの命令に屯田兵が砦を攻める。

火の魔道具を内臓した者達がが砦に火をつける。

砦も気付き弓で応戦してくるが、防御系の魔道具内臓者が防ぎきる。

全てを燃やし尽くした後、次の砦に向かう。


その後も侵攻ルートにある城を1つずつ潰していく。


そして、領都が近付いて来た頃、ヤマ家が総力を上げて仕掛けてきた。


「チカヨシ、そろそろ俺も出るぞ。」

「まだいいじゃねえか?此処からが本番だろ?」

「此処等で活躍しないと出番が無くなるからな!」

話が終わるとムナシゲは騎兵三千を率いて突撃を敢行する。

「遠からんものは音に聞け!近くの者は目にも見よ!我が武勇しかと眼に焼き付け、冥土の土産にするがよい!」

ヤマ家の武将も立ちはだかるが・・・

「やあやあ、我こそは、ヤマ家にその人有りと言われた、サダ・・・」

「邪魔だ!」

名乗りの途中でムナシゲに首を斬られる。

ムナシゲの突撃は無人の野を行くように斬り進んで行く、

興奮したムナシゲは目につく敵を全て一刀の元で斬り捨て城を目指して進軍する。


「ムナシゲ!手柄を独り占めはさせん。我等もいくぞ!」

遅れながらもチカヨシが突撃に加わる。

「ムスコさまの為におら達は耕すだ!」

屯田兵たちのクワがヤマ家の兵に炸裂する。


・・・最初はまだ良かった。まだ人の姿を保っていたからだ・・・


屯田兵は徐々に姿を変えていく。


植物操作の魔道具を内臓したものは自身を植物に変えて、根で敵兵を締め上げ養分を吸い始める。


鉄を生成する魔道具内臓者は自身を巨大な鉄の塊に変えて敵陣に転がって行き、兵士を引き潰す。


鬼の魔石を使用した魔道具内臓者はその身を鬼に変えて敵に当たる。


極めつけはサチが作成した、竜の魔石を使用した究極魔道具、竜の咆哮を内臓したチカヨシは、その身を竜に変えて敵を吹き飛ばす。


その様子はまるで地獄であった。


ヤマ家当主、クニトヨはその光景に怖気づき、降伏を求めるも、敵の区別を忘れて、城内に乗り込んだ、ムナシゲにアッサリ斬られ、降伏が認められる、・・・というか、気付かれる事もなく、その生涯を終えた。


その後、丸一日暴れまくったせいで領都は廃墟とかした。








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