第82話 戦況。
諸国に手紙を出したあと、
俺はセキシュウと話していた。
「結構、俺達への支持の連絡くるね。」
「サチさまは困っている方を助けてましたからな。
恩を感じる者なら当然でありましょう。
しかし、ヤマ家、オオチ家、トモオ家もサチさまに恩がある筈なのに、奴等は恩を感じる事を知らないようで。」
「まあ、そんな奴等もいるよな。
さて、セキシュウ。何処から倒していく?」
「そうですな。やはり切っ掛けのヤマ家から滅ぼしますか。」
「となると誰が行くべきかな?やはり原因の俺が行くべきだよね。」
「何をおっしゃいます。アベルさまはイマハルでドッシリ構えていたらよろしいのです。」
「いや、俺が出るよ。」
「いえ、ムナシゲとチカヨシに任せましょう。いいですね!」
セキシュウの迫力に負けた俺は・・・
「わかりました。二人に任せて大人しくしてます。」
其処に知らせが入る。
「急報にございます。トモオの領内にサツのシマズが攻め込みました。」
「えっ?早くない?というかいきなり攻め込んだの?」
「はい、知らせによると手紙を受け取った当主の弟ヨシヒロがそのまま出陣、国内の男達を纏めて攻め込んだようにございます。」
「えーと、戦争の準備とかは?」
「全くしてなかった筈なのですが、国境にくる頃には四万になり、何処からか軍費、兵糧を用意したようにございます。」
報告にセキシュウはシマズに感心していた。
「流石シマズにございますな。即戦速攻、中々出来るものではございません。
もし、敵に回るなら恐ろしい相手でございましょう。」
「その話振りだと敵にはならないと。」
「シマズ殿は人一倍サチさまに恩を感じておりますからな。アベルさまに敵対するとは考えられません。」
「しかし!他家に遅れを取るのは恥ずかしい、ショウウンさんに連絡、シマズに援軍を出してもらえる。」
「はっ!お任せあれ。」
セキシュウは連絡に向かった。
一段落した処にユミナがやってくる。
「アベルさま、お疲れではないですか?」
「ユミナ、大丈夫だよ。みんなが指揮を取ってくれて、俺なんて椅子に座ってるだけだから。」
ユミナは不安そうに聞いてくる。
「アベルさま、この国は危険なのでは、お聞きした三家はオウカ国内の由緒ある家で権力もあると聞きましたが。」
「うん?由緒はあっても対処は出来るようだよ。この様子じゃ俺の出陣は無いかも。」
「それなら良いのです。しかし、無理はなさらないでくださいね、」
「まあ、無理はしてないよ。母の家臣は優秀な人が多いから。でも、凄いよね、何をすればこんなに沢山の人に慕われるのだろう。
俺も期待に答えれるように頑張らないとな。」
「その事ですが、アベルさまはもうユグドラシルに帰る気は無いのですか?」
「うーん、無いかな?いや、少しは母の調査に行くと思うけど。」
「アベルさまはユグドラシルの子爵では無いのですか?」
「それを言ったら、オウカでは王族でヨイの領主。家臣もいて、母の祖国だよ。」
「しかし、着いて早々に攻め込まれてるではないですか?」
「まあ、この戦争は俺を使って切り崩しにきてるけど、これを理由にオウカを出るつもりは無いかな?
まあ、叔父さんが俺を狙って来るなら話は変わるけど、命令書が逆賊に発行されていたと謝罪が来てるぐらいだから。」
「そうですか・・・」
ユミナの表情は終始暗かった。
鈍い俺でもわかる、ユミナは国と俺とで板挟みにあっていると。
しかし、俺がオウカを捨てる事は無いだろうし、かといって一度婚約を認めたユミナをすぐに破棄するのも考えるものがあった。
急がないといけない話でもないし、
せめてユミナ自身が答えを見付けるまで待ってみようと考えていた。
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