第81話 諸国の動き。

アキツグの提案で全国の有力諸侯に手紙を出す。

アベルからの手紙を受け取った諸侯は・・・


タケダ家

「ふむ、サチ殿のご子息からか・・・

我が国はアベル殿を支持致す。このような横暴を許せば領の安寧などのぞめぬわ!

それに我が領はサチ殿の提供して下さった鉱山技術で裕福になったのだ。

そのご子息に弓弾く真似など出来ん!」



ウエスギ家

「難癖をつけて裕福な町を狙うか、なんと義に叶わぬやり方、許し難し、我等ウエスギ一同ことあらば救援に向かう。準備を怠るな。」


モウリ家

「トモオ家もオオチ家もサチさまに恩があるだろうに、なんと恩知らずな奴等だ。我が領地はヨイと海を挟んではおるが隣であり、オオチ家とは陸続きである。事が起きればオオチ家に攻め込むぞ。」


「親父、いいのかい?」


「何、三家ゴトキにヨイが負ける筈が無いしな、これを機にモウリの家を大きくする機会である。

サチさまのご子息を助ける為と言えば諸侯からの文句も出んだろう。

良いかモトハルよ、此度早さが命である。開戦したら即座にオオチの領都グチを狙え。本隊はお前が切り開いた進行ルートを広げて進む。

良いなお前の突破力を信じておるぞ。」


「任せとけ!俺もサチさまには可愛がってもらったしな。ここらで恩の1つも返しておかないと会わせる顔がないぜ。」



オダ家

「何、サチさまの領地が狙われているのか?

ふむ、それは由々しき事態である。

我が領に取ってかの領は良き貿易相手である。

そして、我が領主としていられるのはサチさまの口添えのお陰である。

マサヒデ!良いか、中央に行きアベル殿に難癖をつけている賊どもを訴えるのだ!

軍を送るには遠いからな、まずは外交で締め上げてやれ。

オダはアベル殿のヨイの支持を示すぞ。」



多くの領主はアベルの支持を表明するがまだ様子見の状態であった。

しかし、この地域は違う・・・


シマズ家

「何、サチさまのご子息から手紙だと。

そうか、無事ご子息が見つかられたか・・・」

シマズ当主ヨシヒサはサチの子供が見つかった事に涙を流し喜んでいた。


しかし、手紙を読み進めていくと・・・

「ヨシヒロ!何処だ!」

「なんだ兄貴、騒がしいな。」

「何を呑気にしておる!戦の準備をせんか!」


「いきなり何を言ってる?敵は誰だよ。」

「我等が最初に狙うはトモオ家だ!」

「おいおい、理由も無く攻めれば中央が怒ってくるぞ。」

「理由はこれだ!」

ヨシヒサはヨシヒロに手紙を見せる。


「コロス、ヤツラはイキテイル価値がないゴミだ!」

ヨシヒロはぶちギレる。


あまりのキレかたにヨシヒサの方が冷静になる。


「ヨシヒロ、落ち着け。まずは準備をするんだぞ。」

「兄貴、手緩い!こんな話があるか!俺は一人でも行くぞ!」

ヨシヒロはキレて部屋から出ていった。


ヨシヒサ、ヨシヒロがキレるのには訳があった。


シマズが治めるサツの地域は作物があまり育たず、貧し領地であった。


しかし、サチが何処からかサツでも育つ芋を見つけて来て無償で提供してくれた。


当時ヨシヒサがサチに理由を聞くと、

「困っている人に手を差し伸べるのに理由がいるの?私はしたいからしてるだけ。

恩に感じるなら、私が困った時に助けてね。」

そう言って、芋を提供してくれただけでなく、その後、サトウキビから黒砂糖の精製、牛や豚などの畜産を教えてくれて。


イマハルとの交易も有り、

現在では貧しい地域ではなくなっていた。


そして、その事は広く領内に知れわたっており、ヨシヒサも恩を忘れぬように学校の教科書にサチの功績を載せ、

サツに住む人間は命に変えても恩返しをするように教育をしていた。


そして、ヨシヒサの元を出ていった、ヨシヒロは出会う人間に声をかけながら、トモオのを目指す。

「サチさまに恩を返す時が来た!これよりサチさまのご子息を救いに向かう、志あるものは我に続け!」


ヨシヒロの言葉はすぐに領内に知れわたる。


話を聞いた者達が、道中、一人、また一人と集まってくる。

商人は利害関係なく、食料、軍費を提供してくる。


ヨシヒロが境に着く頃には、

詳しい事情も領内に知れわたっており、その数は増え続け、総勢四万。

サツの国の人口が約十万、その内、男で戦える者のほとんどが集まっていた。


「皆、よく集まってくれた、これでサツは恩を忘れぬ者だと全国に知らしめた。


しかし、ここからが本番である。


しかし、我等は尚武の国である。

次はそれを全国に示そうではないか!

恩義も知らぬ輩に我等の大義を止める事は出来ぬ。いざ!出陣だぁぁ!」


「おお!!」


他国と違いシマズは独自で戦争を仕掛けるのだった。

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