第80話 臨戦態勢

俺はアライハマに泊まる事なく、急ぎイマハルに戻る。

「これより、会議を始める。」

家臣を集め会議が行われる。


集まったメンバーはドウセツ、ムナシゲ、タケヨシ、アキツグ、チカヨシ、セキシュウだった。

ショウウンとムネユキは防衛の為に居城に戻ってもらっていた。


会議が始まり直ぐにドウセツが話始める。


「皆も事前に連絡した通り、我等の領地を狙ってクズどもがきおった!奴等はアベルさまを侮り、領地を貪ろうとしておる。我等がとるべき道はなんだ!」


静かにキレているムナシゲが答える。

「決まってるだろ?皆殺しだ!」


タケヨシもムナシゲと同意見で・・・

「ふん、海の藻屑に変えてやるよ。」


セキシュウは・・・

「ワシがヤマ家に侵攻して全てを斬ってくる。」


セキシュウの言葉にチカヨシが・・・

「セキシュウさん、俺の方が近いのですからヤマ家は俺が始末しますよ、奴等のカラッポの頭を全て耕してやる。」


アキツグは、

「皆さん、折角ですから他の国にも連絡して差し上げましょう、これを機会にアベルさまの敵を全て根絶やしにするのです。敵か味方か、ハッキリさせましょう。」


アキツグの言葉にドウセツも頷く。

「うむ、アキツグいい考えだな。全国に連絡致せ、敵対自由だと。中立は認めん、敵は全て滅ぼすぞ!」

「「おお!」」


「アベルさま、会議は纏まりました。ご下知を。」


「これ会議なのかな?なんか決意表明のような・・・まあいいか。これより我等は戦に入る。敵は多いが皆なら苦難も乗り越えれる筈だ!」

「おお!」


俺達は直ぐに戦争出来るように備える事になった。



そして、その知らせは首都キョウにいるヨシテルにも。


ヨシテル家臣アキミツが知らせを届けてくる。

「陛下、一大事にございます」


「何事か?」


「はっ!アベル殿に謀反の疑いがございます。」


「アベルがか?ナイナイ。」

ヨシテルは手を振り否定する。


「しかし、陛下。知らせによりますと、陛下の命令書を破り捨て、赴任してきた代官を捕縛、軍を動かし戦争の準備をしているようにございます。」


「ワシの命令書?ワシは何も命令しておらんぞ?」


「それがアライハマの管理をヤマ家に任せるとの、命令だったようで、他にもイマハルをオオチ家、ワジマをトモオ家が管理するとの事です。」


話を聞いてヨシテルは激怒する。

「誰がそんな命令を出すか!」


「しかし、陛下の印璽も押されてあり、正式な文書であるとの事です。」


「ワシの命令を偽造した奴がいるのだな。」

ヨシテルは怒りを押さえるのに必死だった。

油断すると怒りにまかせて目の前のアキミツをも斬りそうだった。


「私が思うにはフジナガ殿の行動かと。」


謁見の時の発言を思いらあり得ると考える。

「アヤツか、ヤマ家、トモオ家、オオチ家に命令が無効である事を伝えよ。」


しかし、それなら対処はある。命令を却下すれば良いのだ、三家も事が露見したと解れば無理押しはすまい。

あとはアベルに謝罪をすればいいだろう。


「陛下に申し上げたき事が。」


「アキミツ、なんだ?」


「今しばらく、止めるのをお止めください。」


「なんだと!」


アキミツは愚かな事を言い出す。

「これを機にサチさまの国の力を削ぐのです、流石に三家とやりあえば如何に精強な彼等でも被害が出るでしょう。そして、その時に仲裁に入り、恩を売るのです。そして、戦争を起こした責任を問い、アライハマを直轄地にするのです。」


「ならん!」


「陛下、あの領地の戦力を削がねば未来に不安を残す事になります。どうか決断を!」


どうしてワシの家臣はこんなにも愚か者しか居ないのか。

そんな手をとれば他の諸侯も黙ってはおらん、自らの保身の為に反乱もあり得るではないか。

「たわけが!そんな下らん謀略にワシがのるか!誰かこの者を捕縛いたせ、フジナガと共に三家との繋がりを調べろ。」


衛兵がアキミツを捕縛する。

「陛下!お止めください、私は陛下の事を思えば!」


「確かにその話にのれば利があるかも知れん、だが、それをした時に失う信用はどうするのだ!そんな主に他の諸侯も付いてくる筈が無かろう。

ただ、お前が本当にワシの為だけにそれを謀ったのなら、ただの意見として罪には問わん。

しかし、三家から賄賂を貰っておれば、国政をねじ曲げようとした逆賊として処罰致す。良いな!」


「陛下、どうか御再考を!何卒御許しを!」

アキミツは顔を青くして許しを乞うが、ヨシテルが聞くことは無かった。

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