第44話 ノース落城

ノース攻略軍はフレイが指揮を取り崩壊をまぬがれた。

しかし、ノースの町は決死隊の活躍により士気を回復させており、かなりの抵抗を見せている。


「フレイさま、ロキさまより土産が届いております。」

フレイは荷物を見るなり、

「成る程これで士気を折るか・・・皆、明日軍を動かす、攻めかかる準備をしろ!」


翌朝、城壁から見える位置に台が設置された。

「なんだ?」

城壁の兵も集まり注目が集まる。

「城兵につぐ!我が国を攻めた愚か者の末路だ、よく見るがいい!」

そこにはガレス、ケイ、ルーカンの首とトリスタンの首が並べられていた。

「なっ!将軍達が・・・」

「トリスタンさま・・・」

トリスタンやガレス、ケイなどは国内に広く知れ渡っており、彼等の死はユグドラシル国民にしては信じれるものではなかった。

その為に士気がかなり低下する。

この行動を聞いたハインリッヒは頭を抱えた。

「やられた・・・これで町は長く持つまい、今から住人を逃がすことは出来るか?」

「難しいかと・・・ハインリッヒさま、ここは降伏なされるのも1つでは?」

「ならん、公爵家の当主たるワシが降伏すれば国の崩壊にも繋がりかねん、ワシは自害致すゆえ、ソナタ達はワシの死後降伏するように。」

「なりません!ハインリッヒさまが自害なせれては先の決死隊の意味が無くなってしまいます。ここは落ち延びられては!」

「それも出来ん。」

「ならば、降伏を良しとしないものを集めて突撃致しましょう。我等の最後の意地を見せてやりましょう。」

「良しやるか。」

ハインリッヒは覚悟を決めた、そして、ランスロットに報告する。

「ランスロットさま」

「なんだ、ハインリッヒ。何かあったのか?」

「はい、ランスロットさまが率いていた軍は壊滅したものと思われます。」

「なに?そんなバカな話があるか、あの軍はケイに任せたし、ガレスとルーカンも居たんだ、易々と壊滅する筈がない!」

「それが・・・ガレス、ケイ、ルーカンとトリスタンの首が確認されました。」

「なっ!なんだと・・・」

「現在城壁の外に並べられております。」

「アイツらが討たれただと、バカな!そんなバカな話があっていいはずがないだろ!」

「落ち着かれてください。」

「なんで落ち着く事が出来るんだ!」

「それでもです!」

「なっ!」

「これからの我々の行動を決めねばなりません。既に城の士気は完全に低下しました。落城も時間の問題かと。」

「なに・・・」

「従って私はユグドラシル貴族として恥じぬよう、戦場ではてようと思います。此処に来たのはお別れを言うのとランスロットさまも今後の行動を決めてもらいにきました。」

「今後の行動か・・・」

「はい、降伏するか、逃走するか、玉砕するかです。」

「三択しかないのか?」

「先程も言いましたがもう籠城は無理かと・・・」

「援軍は!援軍はどうなっておる!」

「時間的には来てもいい頃ですが、いつ来るかまではわかりません。」

「・・・わかった、私も打ってでる!」

「よろしいのですか?」

「私は腐っても武人と自負しておる、自軍を壊滅させておめおめと生き永らえるなど出来るか!」

「わかりました、ランスロットさま、急ぎ出陣の御用意を、1時間後に出陣しますのでお急ぎを。」

「わかった。」


1時間後、正門前には多数の城兵が集まる。

ハインリッヒを慕う者が多い証しでもあった。

「諸君!戦が下手な私に付き合わせて悪いと思う。これが最後のワガママだ、共に死のうじゃないか!」

「おお!」

「最後までお供致します。」

「公爵さま、万歳!」

「門を開けよ!いざ、出陣!!」

ハインリッヒは戦場に出る!


「おや、玉砕を選びましたか・・・皆、逃がさぬよう包みこめ!あと足の早い者は城の裏手に回り逃走するものを捕らえるように。」

ロキの指示に、サクソン軍は動く。


「ハインリッヒさま!お先に・・・」

サクソン軍の猛攻についにハインリッヒの周辺まで敵が来ていた。

「皆の者!華々しく散るぞ!先に待っている奴らに笑われんようにな!」

「おお!」

囲まれているにも関わらず、死ぬ気で1人でも多く道連れを作ろうという姿にサクソン軍も二の足を踏む。

そして、彼等が稼いだ時間は無駄ではなかった・・・


サクソン軍が乱れ始める、

「何が起こっているんだ!」

ハインリッヒは混乱していたが、やることは目の前の敵を多く仕留めるだけであった。

「ハインリッヒさま!お助けに参りました!」

ハインリッヒが戦っているその中に現れたのは援軍の将、アベルであった。

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