第24話 王子の治療

「そなたがアベルか?」

王の私室に入った途端、王に問われた。

「はっ!自分がアベルにございます。」

「そうか!」

王は俺の手を取り

「息子をアーサーを助けてくれないか。」

「ま、誠に光栄にございます。ぜ、ぜんりょくを尽くさせてもらいます。」

「頼むぞ!」

王の懇願に俺は気合いを入れ直す。

「父上、アベル殿が困ってますよ、解放してあげてください。」

其処には金髪のイケメンが立っていた。


「アーサーとは言え、息子を頼むのだ、手をとるぐらいかまわんだろ。」

「相手が困る事をしないように、アベル殿、治療をお願いできますか?」

「直ちに!」

俺はアーサーの元に行き、回復魔法を使う、

「少しずつ触ってもよろしいですか?」

「構わないよ、遠慮なく触ってくれ。」

俺は眼を治療する。

すると、治療して全快さしてもすぐに傷み出すことに気付いた。

これが毒の効果なのか?

オレは一度回復魔法を止め、神聖魔法の浄化を試す。

狙い通り、毒素が消えさった。

その後改めて回復魔法を使い眼を完全に治した。


「終わりました、眼に違和感はございませんか?」

アーサーは眼を開けると。

「見える、はっきり見えるぞ!アベル殿ありがとうございます!父上、治りました!」

「本当か!よ、よかった!ハインリッヒよくアベルを連れて来てくれた。アベル、褒美は何が良い、ワシが叶えられるものなら何でも良いぞ。」

「褒美などと、私はハインリッヒ様の元でお世話になっておりますのでその恩返しにございます。」

「欲がないのぅ、ハインリッヒ何か良い褒美はないか?」

「それならば、騎士爵を与えては?どうも城に入るのに手間取るようですので。」

「城に入るのに手間取る?どう言うことだ?」

ハインリッヒは事情を説明した。

「なに、ワシが呼んだのに、ラハ男爵が通さず、尋問しようとしただと!」

王は怒りが込み上げてくる。もし、ラハが尋問などすればアーサーの治療が行われたかも疑わしい、そんな事を許せる筈がなかった。

「アベル、すまなかった。ワシが呼んでおきながら配慮にかけておった。この件はワシが確実に処理しておくので許してくれんか?」

「いえ、許すも何も、陛下の御心のままに。」

「ふむ、ワシの謝罪の意味も込めて、アベルを法衣子爵に任じる。」

「子爵?」

「陛下、些か身分が高すぎるのでは?」

「かまわん、アーサーの治療だけで男爵にする価値がある、それに加えてワシの失態だ、文句は誰にも言わせんよ。アベル受けてくれるか?」

「ま、誠に光栄にございます。」

「うむ、ハインリッヒよ、アベルを寄り子にして、ちゃんと守ってくれよ。」

「当然にございます。まあ、寄り子ではなく息子になるかもしれませんがな。」

ハインリッヒはユミナを見て大きく笑う。

ユミナはアベルに寄り添うように立っており、ハインリッヒの笑いに王とアーサーも2人の関係を想像した。

「なるほどな、それなら安心だ、アベルこれからも王国の為に力を貸してくれよ。」

「はは、全身全霊で奉公さしていただきます。」

王の言葉に平伏し、受け入れるしかなかった。

「アベル殿、アーサーこの恩は生涯忘れない、何か困った事が合ったら何でも言ってくれ。」

「王太子殿下、勿体無き御言葉。」

「王太子など堅苦しい呼び方は止めてくれ、アベル殿にはアーサーと呼ぶ事を許可する、と言うか呼ばないと怒る。」

アーサーは笑いながらそう命じる、

「ア、アーサーさま。お戯れを。」

「そうだよ、アーサーと呼ぶように。」

アベルが困っている顔を見ながらアーサーは笑っていたが、

「アーサーさま、アベルさまをからかうのは止めてください。アベルさまが困ってますわ。」

「ごめんよ、ユミナ嬢、君の旦那さまをとらないから許してくれ。」

「だ、だんなさま、なんて、まだそんな・・・」

ユミナは顔を赤く染め、しどろもどろに答えていた。


「後日、アーサーの回復祝いを行う、アベルも参加してくれよ。その時、皆にアベルを紹介致す。」

王の言葉に俺は頷き、その日は城を後にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る