第21話 謁見後

「ユミナ、話は終わったが謁見室に来るとは珍しいな。」

「アベルさまがいらっしゃいますから。」

ハインリッヒはユミナが男に会いに来る事事態に驚いていた。

「そ、そうか、ユミナの命の恩人だからな、良く感謝するのだぞ。」

「勿論です、身も心も捧げても良いぐらいに感謝しております。」

笑顔で告げるユミナにハインリッヒの笑顔はひきつっていた。

「ユミナはアベルさんの事が好きかい?」

「大好きです。」

「アベルさん、ユミナはこう言ってますけどアベルさんはどうですか?」

「誠に光栄としか言いようがありませんね。」

「それはよかった、アベルさん。ユミナと仲良くしてもらえませんか?」

「それはかまいませんが、その風聞とかは大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ、それにユミナは男性が苦手みたいで家族以外の男性と距離をとる、傾向がありまして。」

ピッタリと俺にくっつくユミナを見てみる。

俺と視線があったら、さらにギュッと抱きついてきた。

「男性と距離をとる傾向?」

俺が不思議に思うと。

「ユミナが自分で男性に触るのを僕は初めて見ましたよ。それで、アベルさんと一緒にいれば治るかなと。」

「しかし、公爵家の令嬢が平民の男性と一緒にいるのは宜しくないのでは?」

「大丈夫です!」

ユミナは力強く肯定する。

「ええ、公爵家としても認めてますから、安心して一緒にいてください。」

「わかりました。ただ自分は礼儀も知らない平民ですので不敬罪とかはお許しを。」

「ええ、約束します。ユミナの事を宜しくお願いします。」

「かしこまりました。」

その後謁見は無事に終え、アベルは自室に戻る。


「ユリウス、アベル殿の力はなんなんだ!」

「父上、報告した筈です。私の潰れた足を治していただいたと。」

「しかしだな、あんな治癒魔法見たこともない!」

「私も知りません、しかし、文献によると30年ほど前に欠損を治せる冒険者がいたとか、」

「その者は?」

「冒険中に行方不明になったそうです。」

「なに、惜しい話だのぅ・・・」

「同じスキルかどうかはわかりませんが、アベルさんを失わないようにしようと思います。」

「うむ、任したぞ。」

ユリウスはアベルに陰ながらの護衛を手配していた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る