第15話 王都で取引

「ここが王都か~」

俺はついに王都に着いた。

入場税を払い中に入る。

故郷でもシーマの町でも見たことない3階建ての石造りの町が広がっていた。

「すげぇ~」

俺は田舎者丸出しでキョロキョロしながら町を歩く。

暫く歩くと冒険者ギルドを発見、俺は滞在登録に中に入る。

そこはシーマの町より広く、立派だが、その反面冒険者の姿はあまりなかった。

俺は近くの他人空いてる受付に行く。

「あの~滞在登録したいのですが?」

「3番窓口に行ってください。」

「えっ、ここじゃ出来ないの?」

「業務が違いますので、ここは依頼を受理する場所です。」

「あ、そうですか、なら3番に行ってきますね。」

凄くめんどくさそうに対応された事にちょっとイラッとした。

そして、3番に行くと。

「滞在登録ですか?なら後ろの記入用紙に必要事項を書いて持ってきてください。」

俺は後ろの用紙を見るが・・・

記入項目が山のように書かれていた。


名前、年齢、出身地、犯罪歴、結婚、恋人の有無、現在保有している予算、滞在していた町とその年数、王都に滞在年数、王都に滞在予定期間、現在保有する移動手段による各町への移動時間、討伐経験のある魔物の種類、採取経験のある薬草の種類、各種スキルとそのランク、ジョブ・・・

俺は書くのを断念した。


そもそも滞在登録は推奨されているだけで義務ではない、依頼を受ける事は出来ないが、常設依頼なら達成することは出来る。

そう考えるとこれを書く方がめんどくさかった。

そして、俺は冒険者ギルドを後にした。

「さて、どうしようかな?薬草もギルドに卸せなかったし・・・よし、商業ギルドに持ち込んで見るか。」

俺はそのまま商業ギルドに向かい中に入る。

ここでも近くの窓口に持っていった。

「あの、薬草を卸したいのですが?」

「商業ギルドに登録はなされてますか?」

「いえ、冒険者登録だけです。」

「なら、商業ギルドに登録した方がお得ですよ、未登録だと別途3割は引かれますから。」

「そうなんですね、じゃあ登録をしようと思います。」

「そうですか、ならこれに記入をお願いします。」

そこには名前、年齢、犯罪歴のみの記載だった。

「書けました。」

俺が提出すると受付は笑顔で

「登録を受け付けました。本日より同じギルドの仲間になります。今後も良いお付き合いをお願いしますね、私は受付のシンディと申します。」

「こちらこそよろしくお願いします。」

「それで薬草を卸したいとの事でしたが?ここで出していただいてもいいですか?」

「あっ、お願いします。」

俺は採ってきた薬草を置く。


薬草、魔力草、ハオマ・・・他にも採取困難と言われている多数の薬草が並べられていた。

「今、金額を計算しますので少々お待ちを。」

シンディは対応表を見ながら値段をつけていく。


「ご、合計で金貨121枚銀貨36枚となります。」

「そんなに!」

「ええ、非常に貴重な薬草がこれだけの数があり、採取も丁寧ですのでこの値段となります。よろしいですか?」

「ええ、お願いします。」

シンディは金貨を持ってきて交換する。

「いや~いい稼ぎになったよ。」

「こちらこそ、いい取引をありがとうございます。」

金貨を空間収納にしまう。

「あの?聞いていいかはわかりませんが、どうして商業ギルドに持ち込んだのでしょう?冒険者登録をなされてるようですか?」

「いや、ここの冒険者ギルドの手続きがめんどくさくてね、それなら商人に売ればいいなと思って。」

「そうなんですか、私達としては大儲け出来るので有難い話ですけどね。」

「まあ、シンディさんの対応が良かったのもあるかな?」

「ふふ、それは嬉しいですね、今後も御贔屓にしていただけますか?」

「こちらも頼むよ、次に持ち込む時もシンディさんの所に来ますね。」

「ありがとうございます。またの御利用お待ちしております。」

俺は商業ギルドを出る。

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