第5話 ギルドから2人に罰
アベルがリリーの家に訪れている頃、
カインとマインはギルドに来ていた。
彼等はまだアベルの生還は知らず、ただ、ギルドマスターに呼ばれたから来ただけだった。
「マスター何か用か?」
「お前達にもう一度聞く、アベルは死んだんだな?」
「ああ、俺の前でキングベアーにやられた。」
カインは苦々しく話す。
「マインも同じか?」
「・・・はい。」
「そうか、ならお前達に虚偽申告の罪でDランクに降格処分とする。」
「えっ!」
「なんでだよ!何が俺達の何が虚偽申告と言うつもりだ!」
「アベルは生きてるぞ。」
「えっ?」
「そして、アベルを見捨てて逃走したことも判明している。もちろん、それ事態は仕方ないのかも知れないが、見張りをサボり、見捨てた行為はBランクにふさわしくないと判断する、その上で罰を加算、Dランクにする。異存はあるか?」
「・・・」
「ア、アベルは今どこに?」
「聞いてどうする?」
「会って謝罪がしたいんです。」
「アベルは会いたくないそうだ、お前達のパーティーからも脱退申請をしてきたから、ギルドマスターの権限において受理した。」
「お、横暴だ!パーティーの加入、脱退はギルドが参入しないはずだろ!」
「見捨てて殺そうとするようなパーティーからの離脱は別事項だ。1度見捨てたんだ、本人が脱退を申請してきたら認めるしかないだろ?」
「せめて本人に会わせてください!」
「会ってどうする?殺そうとしてゴメンとでも言うつもりか?」
「そ、それは・・・」
「悪いことは言わん、もう顔を合わせるべきではない。別の街に移って冒険者を続けるか、引退して田舎に帰るか選んだ方がいいと思うぞ。」
「なんで俺達が出ていかないといけないんだ!」
「お前達が仲間を見捨てて逃走したことをみんな知ってるからな、お前達とパーティーを組む者はいないだろう。」
冒険者の中で嫌われる行為の1つに見捨てて逃げるということがある。
どうしようもない理由だったとしても、仲間を見捨てるような奴とパーティーを組んで危険地帯に向かいたい奴なんていないからだ。
「しかし、俺達の実力があれば、日帰りの探索ぐらいなら。2人でも充分行ける。」
「3人でも少ないのに2人で行くのか?死にたいなら止めないが・・・」
「くっ、」
「悪いことは言わん、引退か別の街で出直せ、一応Bランクまでいったんだ、それなりに資金はあるだろう?」
マスターの言うとおり、田舎で家を持ち普通に暮らすぐらいの資金はあった。
だが、カインはそんな生活をするつもりはなかった。
少なくとも、街で優雅な暮らしが出来るぐらいまでは稼ぐつもりだった。
「くそ!こんな街、俺から出ていってやるよ!マイン来い!」
「ま、まってよ、カイン、もっとアベルの情報を・・・」
「うるさい!行くぞ!」
カインとマインはその日のうちに荷物を纏め、翌朝の馬車で街を出ていった。
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