第19話


「あらぁ、ロゼリア様ではありませんかぁ?」


「これはヘレン=アーノルド様。お久しぶりですね。」


「本当に久しぶりですわね。あんなことがあって、もう王宮で会うことはないと思っておりましたわぁ。」


お茶会で早々に話しかけてきたのは、アーノルド伯爵令嬢でした。彼女はもともと、私に対して敵意というか、ライバル意識があるような方でした。まあ、同じ伯爵家と言っても、我がエルベス家とアーノルド家では天と地ほどの差があると言っていいでしょう。しかし彼女はそれがわかっていないのか、同じ伯爵家の私が自分よりも優遇されているのが気に入らないようでした。

今も、王太子との婚約がなくなった私を貶めたいのでしょう。実際は、元王太子が処罰され、我が家は王家から慰謝料も受け取っていることから分かるように、こちらに非はありません。

彼女は、もともと頭のいい方ではないのでそのことも分かっていないのでしょう。周りの方々は事情をしっかりわかっているので、王宮で開かれた、王太子殿下主催のお茶会で、王家の失態をぶり返すようなことをする彼女に冷たい視線を送っています。


「お気遣いに感謝しますわ。ですが、すでに両家の間で話はついておりますので、心配にはおよびませんわ。それに、その話はこの場に不釣り合いでは?」


「ふん、負け惜しみを言っちゃって、」


私は面倒くさいので、適当に話を切り上げて、仲のいいご令嬢方とでもお話をしようと思ったのですが、まだ何か言ってるようです。


「やあアーノルド嬢にエルベス嬢、何を話しているんだい?」


もう無視してしまおう。そう思ったとき、後ろから声をかけられました。


「あ、殿下、ロゼリア嬢が元王太子殿下に婚約破棄をされた身でありながら王宮のお茶会にのこのこ現れるので、周りからどう思われているのか教えて差し上げていたのですわ。」


アーノルド嬢は、王太子殿下が来たのを、味方が増えたと勘違いしているのでしょう。王太子殿下の腕を掴み、私を悪者にしようとしています。全く、イライラしてきました。


「何を言っているのかな?ローゼは私が招待した客人だよ。君は、私に何か文句でもあるのかな?

それと、君はよく知らないようだから教えてあげるけど、婚約破棄をしようとしたのは兄上だけど、実際は、ローゼから兄上に対して婚約破棄をしたんだよ。よく知りもしないで他人を貶めるのはいかがなものかと思うよ。

周りをよく見てみなよ。多くの方が、君を非難するような視線を向けているのに気づいていないのかな?周りの人がどう思っているか、一から教えてあげようか?」


「え、いえ、だって私。し、失礼します。」


王太子殿下に一方的に注意を受け、まさかと思ったのでしょう。自分でも今の状況が飲み込めていないのでしょうか、逃げるようにして、足早にさっていきました。


「殿下、少し言い過ぎでは?」


「ごめん。ローゼが皆の前で貶められてると思ったら頭に血が昇っちゃって。」


「ありがとうございます。こんなふうに守ってもらえて、私、弟離れできなくなりそうですわ。」


「………」


「殿下?」


少し殿下の様子がおかしいように感じます。

あ、お茶会で弟などと発言するのは不味いですね。どうしましょう。



「ローゼ、私はローゼが好きだ。お姉ちゃんだなんて思ったことない。今だって、ローゼが侮辱されているのが耐えられなかった。これからは、私に守らせて欲しい。お願いだ。

兄上がしたことを棚に上げて、こんなことを言うのは恥知らずな行為だとわかっている。でも、結婚したいんだ。」

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私が罪を?断罪されるのはあなたですよ、殿下 四季 @abc-abc-123

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