第18話
あれからはしつこい縁談もなく、平和な日常を過ごしています。もう1年の月日が過ぎました。
余談ですが、マクルーガー様はあの後、弟さんの婚約者候補の侯爵令嬢に密告し、見事破談にしたそうです。また、公爵令嬢も見事籠絡し婚約したそうです。これはさらに余談になりますが、もともと男好きの公爵令嬢を見事に調教し、今ではマクルーガー様に従順なご婦人になっているとか。ほんとに婚約しなくて良かったですわ。
しかし、新たな問題が起きているのです。
「ローゼ、僕との結婚は考えてくれたかい?」
そう、今目の前にいる第二王子殿下、改めて王太子殿下から求婚されているのです。
はっきり言って、婚約をすっ飛ばして結婚というのも非常識ですし、元王太子との婚約破棄があった私がその弟と結婚というのも非常識です。
「殿下、私の可愛いローゼを勝手に口説かないでいただけますか?
ローゼが嫌だと明言したら、たとえ相手が王家でも遠慮はしませんよ。」
お兄様はお兄様で、殿下に敵意剥き出しで、今も後ろから私を抱きしめて殿下を睨みつけています。少し怖いです。
「お、お兄様、落ち着いてください。そんなに睨んでは殿下に失礼ですよ。」
「でもね、こういうことはちゃんとお教えして差し上げたほうがいいんだよ。言わないと私の怒りが伝わらないからね。」
「いや、ローゼ気にしなくてもいいよ。アイザック殿の気持ちもわかるから。」
どうしましょう。お兄様は怒っているし、殿下の求婚を断るのも。まだ気持ちの整理がついていません。私は断りたいのでしょうか。
---1ヶ月前---
私は、王太子殿下のお茶会に招待されておりました。当然、お兄様もですが。
「本日はお招きいただきありがとうございます。王太子殿下にご挨拶申し上げます。」
「ああ、今日は楽しんでいってくれ。アイザック殿も、そう警戒しないでくれ。今日は何かするつもりはないんだ。」
「そうですか。それなら、安心して楽しませていただきましょう。」
なんだか、お兄様が険悪なムードを漂わせていたので、おかしいとは思ったのです。
私にとっては、悪夢に近いお茶会が始まりました。
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