第18話 お父様と話し合います

建国パーティーが無事に終わり、次の日には、わたくしはお父様の執務室に来て話し合いをしています。


「お父様、ソラリアス帝国の第一皇子殿下との縁談の話があるそうですね。」


「せ、セレ、誰からそれを?」


「殿下から直接聞きましたわ。なぜ教えてくださらなかったのです?」


「うむ、ソラリアス帝国とはつい最近までは敵国と言っていいような間柄だった。そんな国にセレを嫁がせるなんて、無理だ。

それに、隣国に嫁いだら、もう簡単には会えなくなってしまうじゃないか!」


なんというか、個人的な感情がかなり入っているようですね。でも、愛されているのはありがたいことです。

しかし、隣国との友好のためであれば、貴族として、いえ、いまや王女として、当然のことなのかもしれません。


「今この国の王はフィーベルトだ。だから、これはフィーベルトが決めることなのかもしれん。だが、私はセレを嫁になど出したくない。断固反対する!」


「お父様、しかし、それでソラリアス帝国は納得するのでしょうか。」


「うーむ、それが問題だ。

おそらく、大した理由もなく縁談を断るなどできないだろう。

セレは、どう思っているのだ。昨日あちらの第一皇子と話したのだろ?」


「はい、お話しした感触では、悪い方ではなく、こちらに友好的に接してきていると思います。

この婚約が両国に対して、有益なものとなるならば、お受けするべきかと思います。」


「そうか、分かった。考えてみよう。少しだけ時間をくれるか?」


「分かりました。では。」




---アルベルトside---


セレナは貴族としての自分の立場をよく理解し、役目を忠実に果たそうとしている。

もちろん悪いことではない。

だが、父親としては寂しいものだ。いつか嫁に行ってしまうのは分かっていたし、あのバカ王子との婚約より、何倍も良いというのは自分でも分かっている。



コンコンコン

「父上、私です。」


「入ってくれ。」


「どうなさったのですか?」


「ああ、セレナの婚約についてお前の話を聞きたくてな。」


「ウィリアム殿下とのですか。


正直私も、父上が思っているのと同じように、婚約して欲しくはありません。」


「そうか、なら……」


「しかし、セレナは今回の縁談について前向きな考えを持っています。

もちろん、一国の君主としての意見で言えば、この縁談を進めるべきとも思います。

それに、セレナはおそらく子の婚約を受ける気でいますよ。」


「うむ、そうか。やはりそう思うか。」


やはり、この縁談を進めるしかないのか。

親としては寂しい。だが、それでことを決めてはいかん。

仕方がないか。

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婚約破棄ですか?そうですか、なら遠慮はしませんわよ? 四季 @abc-abc-123

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