game 12:ゆるすぎお茶会 ボードゲーム紹介
こんにちは。
今日紹介するボドゲは、わいわいと仲良くなれるコミュニケーションゲーム『ゆるすぎお茶会』です。
コミュニケーションというのは人と人が対面で遊ぶボードゲームにとっては、重要な要素です。そもそもボードゲーム自体が、ルールを通して他者とコミュニケーションをするもの、という捉え方もできると思います。
ボドゲのルールでは、プレイヤーどうしのコミュニケーションの要素は一見隠蔽されていることがあります。早い者勝ち、少ない資源の奪い合い、お互いの目的の読み合い、そういったルールによってゲーム中の「コミュニケーション」が定義されています。
ルールに従って遊ぶだけで、直接的な「会話」や「交渉」といった行為を行わなくても、他のプレイヤーとのコミュニケーションが成立するようになっている、ということですね。
どんなボドゲにも多かれ少なかれコミュニケーションの要素はありますが、そこをあえて「コミュニケーション系のゲーム」と呼ぶのは、具体的なコミュニケーションの要素を隠さずに、生のコミュニケーションの面白さを軸にしているものなのかな、と思っています。
今回はその中でも、特に「コミュニケーションの楽しさ」を主軸においているゲームの話をしようと思っています。嘘をついたり交渉したりするような、プレイヤー間の緊張や対立を楽しむコミュニケーションゲームもあるのですが、それはまた別の機会があれば。
さて、なんだか面倒なことを言い出してしまいましたが、改めて『ゆるすぎお茶会』の紹介です。
このゲームでは、プレイヤーの一人がお客様、他のプレイヤーが執事となって「ゆるすぎるお茶会」を開催します。
ゆるすぎるお茶会なので、お客様の注文もゆるすぎる。「雨の日にぴったりのお茶を」「ちょっと落ち込むことがあったから元気になりたい」そんなお客様の無茶振りに、執事たちは頑張って応じてください。そして、お客様が飲みたいお茶を当てることができた執事の勝ちというゲームです。
用意されたお茶は全部で三十二種類。『アールグレイ』や『ウバ』といった『茶葉』で選んでも良いし、『イングリッシュ・ブレックファースト』のような『ブレンド』もあります。フルーツなどで香りをつけた『フレーバード』、花やハーブを使った『ハーブ』、他にも『ロシアンティー』や『チャイ』などの飲み方で選ぶこともできます。
また、お茶には『甘み』『渋み』『芳醇』などの風味の特徴、ミルクティーやアイスティーなどオススメの飲み方の記載もあり、それらの情報を使って、お客様の飲みたいお茶を絞り込んでいくことになります。
執事からお客様へ、これらの情報を使って三回質問ができます。ですが、その質問の回答も、お客様はゆるく答えようとします。
例えば「『苦味』のあるお茶はいかがですか」と質問すれば「大人っぽいもの」と返ってくるかもしれません。大人っぽいってことは苦味があるのか、それとも違う意図なのか。その意図を察してお客様の飲みたいお茶を探し当ててください。
でも、もし当てることができなくても大丈夫。お客様もゆるいので、差し出されたのが自分が飲みたかったお茶じゃなくても「ちょっと違うけどまあ良いか」「これはこれで良いかも」と飲んでくれます。
一応、注文を当てられた執事が勝ちではありますが、このゲームのメインは「ゆるすぎる」会話──意図が伝わらなかったり、伝わったりすること──を楽しむものかな、と思います。伝わらなくても楽しいし、伝わると嬉しい、そんなゲームです。
実を言うと、俺は少し前まではコミュニケーション系のゲーム、苦手だったんですよね。勝ち負けがはっきりしないものも多いし、どう楽しんだら良いのかわからなくて。
それが変わるきっかけになったのは、ボドゲ会で遊ばせてもらった『曖昧フェイバリットシングス』というボドゲでした。
この『曖昧フェイバリットシングス』では、プレイヤーはまず、隣の人にお題を出します。例えば「好きなおにぎりの具」とか「住んでみたい都道府県」「好きなボドゲ」のようなものです。隣の人から渡されたお題を受け取ったら、そのランキングを用意して、カードを作ります。
例えば「好きなおにぎりの具」というお題であれば、「鮭」「昆布」みたいな単語のカードが出来上がります。
そうやってできたカードがお題を出した人に戻りますが、そのカードのランキング──どれが一位でどれが二位なのか──は、カードを書いた人にしかわかりません。そこからゲームが始まります。
順番に手札のカードを一枚ずつ出していって、全員が出したら、そのカードのランキング順位を発表します。そして、ランキングの順位が一番高い人に一ポイント。ただし、最弱だけど一位のカードにだけ勝てるランキング外のカードがあるので、一位のカードを出しても勝てるとは限りません。
場に出たカードはお題によって様々で、「ツナマヨ」と「北海道」と「プリン」と「ジャイプル」(ボードゲームの名前です)でどれが一番強いか対決、という不思議な光景が見られます。
ランキングの順位がわかるのは、自分が書いたカードだけです。
隣の人の好みを考えて「これは一位だろう」なんて勝負を仕掛けたつもりが、実は五位だったりして「いや、これが五位とか納得できない」「俺的にはこっちの方が上なんだよね」みたいな話が始まったりします。
このゲームの楽しさは、そういった「自然と始まる会話」にあるような気がします。
最初に遊ばせてもらったとき、お題を何にしたら良いかわからなくて「好きな二人用ボドゲ」と書いたのですが、知ってるボドゲも知らないボドゲもあって、それでそこからそのボドゲのどんなところが好きか、みたいな話で盛り上がってしまって。
なんというか、好きなものについて話すのって、やっぱり楽しいんですよね。
そういえば、そのとき俺に出されたお題が「おにぎりの具」で、隣の人には散々「なんでこの並びで一位が塩」って言われました。その人の中では鮭が一位だったらしいです。俺は塩むすびが最強だと思うんですけど。
ボードゲームは楽しんだ人の勝ち、なんてよく言われてますし、俺もよく言うんですけど、こういうコミュニケーション系のゲームを遊んでいると、特にそう感じます。
他のプレイヤーとの共通点を見付けたり違う部分を知ったり、伝わったり伝わらなかったりすることを楽しむ。『ゆるすぎお茶会』のゆるさは、コミュニケーションのそういう部分を面白がるためのものなんじゃないかなって思います。
『ゆるすぎお茶会』
・プレイ人数: 2人〜∞
・参考年齢: 8歳以上
・プレイ時間: 10分〜15分
『曖昧フェイバリットシングス(第2版)』
・プレイ人数: 3人〜6人
第2版の前のデザインでは、プレイ人数は5人まででした。
・参考年齢: 12歳以上
・プレイ時間: 30分〜60分
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