game 7:DANY(ダニー) ボードゲーム紹介

 こんにちは。初めまして。大須だいす伊佳瑠いかるです。

 だいたいなんでも遊ぶし同卓や相席は歓迎です。お気軽に「いか」って呼んでください。よろしくお願いします。


 さて、今日は『DANYダニー』というゲームの紹介です。

 このゲーム、対象年齢が十六歳以上という、少し大人向けのゲームです。あれ、カドさんと瑠々るるって十六超えてたっけ……?

 ええと……対象年齢というのは、ゲームのコンポーネント(内容物)やルールの複雑さ、メカニズム(システム)やテーマなどの要素から複合的に判断されているようです。

 例えば、対象年齢が四歳以上の『カヤナック』は、四歳の子供でも扱いやすいような駒の大きさになっていたり、点数に複雑な計算が不要になっていたりなど、小さな子供でも遊べるようになっています。

 逆に、重ゲー(ルールが複雑でプレイ時間が長くなりがちな重量級ゲーム)として分類される『テラフォーミングマーズ』は対象年齢が十二歳以上、『サイズ - 大鎌戦役 -』は十四歳以上に設定されています。

 ですが、対象年齢はあくまで参考年齢です。ゲームを楽しむという行為は個人差が大きく、どのようなゲームが好きか、どの程度ゲームに慣れているかが大きく関わってきます。その年齢以上であれば必ずしも楽しんで遊べるとは限りませんし、対象年齢より年下でも楽しめることもあるでしょう。

 対象年齢がどうしてその年齢なのかを考えてみると、単純な以上か以下かだけでない情報が見えてきて、ゲーム選びの参考になると思います。


 話がだいぶ逸れましたが、改めて『DANYダニー』の話に戻ります。

 このゲームがやや大人向けに設定されている理由は、そのテーマや出題される単語、それから使われている絵の雰囲気などのためでしょう。

 むしろ対象年齢を上げることで、お題当てと正体隠匿系のシステムの上に確固とした世界観を構築することに成功しているとも言えます。


 このゲームの舞台は、ダニーという人物の心の中。プレイヤーたちは、ダニーの中に生まれた副人格となって、ダニーの心の中で自分の人格を確立するため、人格同士でコミュニケーションを行います。


 コミュニケーションの方法は、ダニーの記憶を組み合わせて意思疎通をすること。これが、このゲームのメインの部分でもあるお題当てです。

 発現人格(その時点で表に出ている人格のこと)になったプレイヤーが、ダニーの記憶を写し取ったお題カードを組み合わせて、指定のお題を表現します。

 お題は例えば「中心」「道に迷う」「会話」「友情」「別離」など、普通に考えてもどこか曖昧で表現に困るものばかり。あるいは「殺人」や「アダルトグッズ」など、対象年齢の高さにふさわしい単語も登場します。

 そして、それを伝える唯一の方法である記憶カードが、どこか不安を誘うような絵ばかりです。

 手の形をしたガラスの花瓶は中指が切り取られて一輪の花が活けられています。あるいは、海に沈む人のように見える島の上にぽつんと建つ風車小屋。ジュークボックスの中に閉じ込められているかのような、裸の女の人。

 直接的に性的な描写はないのですが、ヌードは出てくるし、そこに見える隠れきっていない不穏さを考えると、やはりこれも対象年齢の高さに頷けます。


 そして、ただでさえ難しいこのお題当てに、正体隠匿系の要素も入ってきます。

 正体隠匿系ゲームは、有名なところだと人狼ゲームがそうですね。プレイヤーはそれぞれ、なんらかの役割を持ちますが、その役割を隠しながら自分にとっての勝利条件を目指す。そんなゲームのことを指します。

 このゲームでは、プレイヤーは主人格であるダニー一人と、副人格の二つのグループに別れることになります。グループと言ってもダニーは一人きりですが。

 副人格たちの目的は、最初に話した通り、コミュニケーションを成立させてダニーの心の中に居場所を作ること。なので、お題当てを六回正解したら副人格全員の勝利です。

 一方、主人格であるダニーの目的は、副人格たちを消し去って平穏な一人きりのダニーに戻ること。なので、コミュニケーション──つまりはお題当てを失敗させる必要があります。

 ただし、自分が主人格のダニーであることは、決して知られてはいけません。

 お題当てを六回正解するよりも前に、三回不正解になる、あるいは記憶カードが足りなくなってしまった場合には、「驚きの展開」が待っています。


 「驚きの展開」になった場合、全員で「誰がダニーだと思うか?」を話し合って、それから一斉にダニーだと思うプレイヤーに投票を行います。そこで見事ダニーを当てることができた場合も、副人格たちの勝利です。

 つまり主人格のダニーは、「お題当てを三回不正解にさせるか、記憶カードを不足させる」ことと、「自分の正体を知られないこと」の両方を達成しなければ勝利できません。けれど、その両方を達成できれば、一人勝ちです。


 出題がわかりにくかったからダニーなのか? それともあの人が間違えた答えを主張したのは、ダニーだからなのか?

 お題もそれを表現する絵も何もかもが曖昧な中で、副人格たちは疑心暗鬼に陥って、勝手に仲間割れをしてゆくでしょう。誰がダニーかは意外なほどわかりません。


 正体隠匿系ではあるのですが、ゲームのメインはお題当て。話し合うための情報は目の前にあるので、誰でも議論に参加しやすいのがこのゲームの良いところ。途中脱落もないので最後まで全員がゲームに参加できる点も良いポイント。手軽に遊びやすいゲームだと思います。

 不安感を誘うデザインではあるので、そういうものが苦手な人は注意してください。そうでなければ、楽しめると思います。




『DANY(ダニー)』


・プレイ人数: 3人〜8人

・対象年齢: 16歳以上

・プレイ時間: 30分






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