鯱と青い硝子瓶
ohne Warum|
第1話
君の目の前に置かれた 青い花瓶
あるとき 花瓶は 割れてしまいました
風に揺れたのか
割れてしまいたかったのか
花瓶の目の前にいるのは 君だけでした
仲の良かった 君のお友達も
この時ばかりは教室にはいませんね
そこに居るのは 君ひとり
君が そこにいることを
誰も見てはいなくとも
誰もが 君が そこにいることなんて 知ったままでいる
君を見ることは できなくとも
そこには いつでも 君がいる
君が花瓶の割れるのを
助けてあげなかったものだから
花が死んで 悲しいわけさ
先生は 花瓶を割ったのが誰なのかを知りたそう
君がいるのを 誰も見てはなくとも
そこに君がいることくらいは 知っている
君は そこにいようと
花瓶を割ることは難しい
君が花瓶が割れるのを強く願えば
花瓶はすぐにでも割れてしまえる
蝶が蛹に変わるのを 止めることは難しいもの
花瓶が割れたのも
君のせいだってことくらい
君が割らなくとも
君が願えば花瓶は割れる
誰も君を知らなくとも
君は 君がそこにいることくらい
先生は 割れた花瓶を捨てて
皆んなは 花瓶の怪談で夜を明かす
君は 花瓶の割れるのを願った日を呪い
遂には 割れた花瓶の姿を真似て 皆んなを脅かす
苦しくて 呪いも解いて 助けてあげて
君はやっとの事で花に恋をした
君があの日を呪うことで
花も 君の割った花瓶のように
君が願えば 花瓶は割れる
花は死んで 君は割れる
その透明な青いビー玉は大切にして
花瓶は風船
あの子の気球
気球は目を閉ざし
夢から醒ます
笑うわるいこ
焚火にくべてもう戻らせて
夢では無い
歌では無い
存在も不在もする
起きてしまったこと
この手で
起こさせてしまったこと
この手で
その手ではなく
この手をそうさせた
その子にそうさせた
あの子では無く
鏡に住むあなた
肌も白い
癖っ毛
髪を切りたくても 鋏が怖い
祖母にずっと昔から切られていたから
だから人に体を預けた
その子の叫びを聞くものが この世に不在する
すまない
パリの舞台ではご自由に
夢の中の 夢の中の 夢の中の 夢の中の
マカロンは 君の好きな色を選んで
フランス語が話せるのは 君じゃない
母は何処にもいけない
お化けに 世界を終わらせる訳にもいかないから
見つめた先を生かすだけ
見たいものはそれ?
鯱と青い硝子瓶 ohne Warum| @mir_ewig
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