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一つの矛盾に揺らぐ為の。

《僕らの父がどれだけ夢中になろうが、何も分からないままに家を建てたこと。但し、夢中で子供を殺すのなら離れなければならない時も。僕のフィールドを絶望に落とさなかったのは夢遊病者とされた彼。息子のように思い、大阪での虐待に彼なりの保養を。だから彼らは何かの哲学対話のような空間に暮らしていたのかもしれない。それが自殺を振り返る理由に。勿論、《雄馬》は彼らの願い。僕のじゃない。Deleuze が一つの先人としての。家名で呼ぶのも研究する方の遺した何かを感じません?》
seq1 「私はもはや自分が抱いている女の目を見ず、その頭、腕、足を泳いでわたり、女の目の奥に、まだ究めつくされていない地帯が、未来の世界が開けるのを見た。そしてこの世界には何の論理もないのだった。(…)私は壁を粉微塵にした。(…)――(中)p20※H.ミラーの文中引用
1)しかし私たちが愛し合うときには、常に世界が相手なのである。私たちの愛は、私たちに愛されるもののリビドー的特性に狙いを定め、もっと広い世界に対して、大規模な集団や集合に対して、自分自身を閉じるか、あるいは開いてゆくかする。
《馬は午年の。彼の出生に於ける罪への関わり方。それから遠くを征く白い馬。母の見たかったもの。僕のは羽を生やしてある。灰色の体毛と、ふかふかのそれも、おそらくは体毛。灰色の全身だ。朝霧高原の黒豚に磔にされた僕を遠くから見定めている。彼の背に乗り、霧を征く事で僕を軸として描いた螺旋を滑らかに周回する。》
《霧の中では眠らない。投影されたに過ぎない。誰も人を捉える事が出来なかった。ヒトはサルやハトを血塗れにする事でしか、まともに話すことすら難しい。田植えをさせられなくとも、その手には初めから噛み跡が。Brot が有れば白い手のまま。無くてもいずれは青い瘡蓋を。中指に。ただの妄言。》
《Brot が4つ以上は必要になる。お使いはお任せ有れ。軽井沢には彼女が暮らす。生前の厳冬を、遠くの息子や僕ら捨て子たちのことを気の毒に思いながら。その旅館では「雪見だいふく」を。妹は Pino が好き。悠太くんはお城の中で数学に夢中。街を燃やすのでは無く、家を燃やすことでしか。それは誰にも知り得ない。全ての投影価値を父親が。それを台詞に含ませない為の、母による遠くの神への異端信仰。"神様がそう書き記しているよ"。Lotus が買えるのは、ずっと後になってから。》
seq2 たったいま起きたことが何なのか、それが最後までわからない。これから何が起きるか、それだけはいつもわかる。――(中)p65
《僕へ向けるものが、彼がお母さんへと向けたものなのだと、初めに遊びを終わらせてしまうと、人は収容所の中で音楽を浴びてくれたのかもしれない。父親への憎しみを母に投影する。身代わりだ。そこに規律を混入さすことで、その子は父を見なくなる。母をスイカ割りの主役にしたところで、お城が赤く染まるだけ。基本が生かされたに過ぎない。その手で何を行うのか。フィールドが改編されようが、役割は常に一定なのかもしれない。「奈須きのこ」もそう言ってる。しかもこれはメモ帳に磔にするやつ。僕らの終わりは安楽死に。ワッフル片手に Utrecht を遠く見つめてみるのも僅かな慰めとして。》
ほんとうは、性愛はいたるところに存在するのだ。官僚が書類を撫でる態度の中に。裁判官が判決を下す態度の中に。実業家が金を使う態度の中に。ブルジョワがプロレタリアのオカマを掘る態度の中に。等々。(…)ヒットラーは、ファシストたちを勃起させていた。[下p147]
seq1 すべてを曖昧にしておくのは容易だなどと考えないでほしい。何かが起きた、それもいくつものことが継続的に起きた、そして答えは決して見つからない。このような場合、理解すべき内実を作者がこと細かに作り上げる場合に劣らず、細心の注意と正確さを必要とするのである。――(中)p64
《父を殺せない。母に願う。母を殺せない。僕に願う。僕を殺せない。父に願う。僕を。孤島の文化圏に父が不在する。殺されるのはいつも僕。街の象徴だ。箱の中には猫が不在する。何が起ころうとも誰も見ない。その手で起きた事。指令ではない。その手で起きた事。父への返答として。畏れたその先として。母の本質を捉えないが為に。海を見つめて廃城を見下ろす。その中に埋められた空虚の貝殻。博物館の。或いはイタリアの。死人たち。箱の中には猫が。収容所には神が。全てが不在する。》
seq2 (…)風景は?彼は風景を歯牙にもかけなかった。(…)人類は?存在しなかった。思考は?水の中の石のように沈んでいった。莫大な、きらめく過去は?ひからび、すり切れ、もろく、もろくて半透明な鱗が砂浜の上に打ち棄てられていた。」――(中)p56※ロレンスの文中引用
3)それにひとつの名を与えてそれを個体化する。私たちは自分の手足を見て、こう考える。これらの組み合わせがひとりの個人を形成しているが、この個人は再生産の働きをする唯一の中心から生まれてきた、と。[下p133]※サミュエル・バトラ『エレホン』からの文中引用
《海から翻訳したのは漁師では無い。それはモササウルス。暁美ゆうむの落とした八重歯。古代の鯨が調理場の拷問を終わらせる。海獣とはオットセイの事を指す。トドやセイウチ、アザラシとアシカ。イッカクの八重歯がマロニエを突き刺す。彼女を狙うライオンを仕留めようと、その幹は刺されたものを抜かせない。子も内臓も喰らい放題さ。終わらせなければ。音楽と箱庭、それから霧の街から通ずる一つの選択。ノヴリスオリーヴ。ジュ。箱の中に囚われた猫の揺らぎを知らせてくれたら。僕ならわかる。猫との離れ方。》
seq1 「海の近くで、精神も記憶もなくして一人いる。(…)太陽に照らされた砂の上の黒褐色の原住民のように、一人ぼんやりしながらも醒めている。(…)遠く、とても遠くで、他の惑星に足を下ろしたかのように、まるで死後の人間が一歩踏み出すように。――(中)p56※(ロレンスの文中引用)
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我々は最期まで劇場の前を彷徨う

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