Episode-Service4 脱衣ジャンケン2

 合法脱衣ジャンケン。


 何の罪も受けずにおっぱいを見られる。それはこの地獄において急に現れたオアシス。


 絶対に逃すわけにはいかない。


「カルラさん。ルールを確認させてください」


「あぁ? んなの簡単だよ、簡単。ジャンケンして負けた方が一枚脱ぐ。ただまどろっこしいのはダメだ。靴下は二足で一回分。時計とかネックレス、ベルトなんかも一回分に含まれねぇからな」


「つまり、純粋に衣類での勝負ってことですね……?」


「そうだ。ちなみに教えておいてやると、今日のアタシはシャツ、ズボンに下着、靴下……計四枚だ」


「四ま……なんですと?」


 それはおかしい。


 下着はパンツとブラジャーで二枚のはず。なのに、四ということは……。


 俺は思わずカルラさんの胸を一瞬だけ凝視する。


 その瞬間、頭の中でアラートが鳴り響いた。


 ま、間違いない……。この人――ノーブラだっ!!


「……っ」


 衝撃の事実にゴクリと思わずつばを飲み込んでしまう。


 えっ、この人、さっき「暑い」とか言ってシャツ脱ごうとしていなかったか?


 ノーブラなのに?


 クッ、なんてバカな人なんだ……! 


 そして、それは俺にも言える。


 どうして脱ごうとしていたのを止めたんだ、俺は……!


 スルーしておけばラッキースケベに出会えたというのに!


「……おい。なんか失礼なこと考えてないか?」


「気のせいです。俺はカルラさんに敬意しかありませんから」


「そ、そうか。なら、いいんだ……へへっ」


 照れ恥ずかしいのかポリポリと頬をかくカルラさん。


 尊敬しているに決まっているじゃないですか。


 いつも俺にヘッドロックをかましたり、こんな合法おっぱいチャンスをくれたり……カルラさんは俺の愛棒をいつも喜ばせてくれるんですから……!


「ただし、ジャンケンの前に酒を一杯飲む。これが第六番団うち独自のルールだ。わかったか?」


「わかりました。負けるまでとことん付き合いますよ!」


「よっしゃ、いい意気だ! やるぞ~! リオンは審判な!」


「ひいよ~」


 酔いが回って呂律が怪しい団長の返事によって戦いの火蓋は切られた。


 コップになみなみと注がれたお酒を呷る。


「脱衣ジャンケン~」


「「よよいのよい!!」」


 繰り出された手はパー。対して俺の手はグー。


「くそぉぉぉぉぉ!!」


「甘いぜ、ルーガ! アタシが何人の新人を脱がせてきたと思ってるんだ?」


 ケラケラと笑うカルラさんはビシッと俺を指さす。


「さぁ、ルーガ。約束だ。まずは一枚脱いでもらおうかぁ?」


「……わかりました」


 敗北者は勝者に従うのみ。


 俺は靴下を脱ぐと部屋の隅へ放り投げた。


「まぁ、初手はそうなるな。だが……次からはどうかな?」


 俺はすでに上着を団長に貸してしまっているため、残りはシャツ、ズボンにパンツの計三枚。


 すでにカルラさんよりも少なくなっている。


 しかし、苦境に立たされてこそ燃えるのが聖騎士。


「ふっ……まだ勝負は始まったばかりですよ」


 今から四連勝すればいいだけの話。


 まだまだ挽回の余地はある!


「よ~し、じゃあ次いこうか?」


「ええ、もちろん!」


 また団長によって注がれたお酒を一気に飲み干す。


「「脱衣ジャンケン」」


「「よよいのよい!!」」


 今度は互いにパー。勝敗はつかなかった。


「あいこの場合はどうなるんですか?」


「もう一回、酒を飲んで~の繰り返しさ」


「わかりました! ……ぷはっ!」


「いい飲みっぷりだぁ! いくぞ!」


「ばっちこい!!」


 そうして繰り返される脱衣ジャンケン。


 己の尊厳を賭けた戦い。この場に熱狂が生まれる。


 あいこ、酒、あいこ、酒、負け、酒、あいこ、酒、負け……。


「は~い、ルーガくん脱ぎ脱ぎしようね~」


「くっ……殺せ!!」


 もうすっかりできあがった団長の手によってズボンを脱がされる。


 晒された俺の裸体。隠せているのは股間だけ。


「おいおい、ルーガさぁ。もうちょっと楽しませてくれよ」


 ここまで全戦全敗。


 カルラさんは勝負が始まった時と全く同じ格好のままだ。


 それにあんなに酒を飲んでいるのに一向に酔い潰れる気配がない。


「ふっ……ふふっ……まだまだぁ」


 対して、俺は結構限界を迎えていた。


 正直立っているのがやっとだし、胸がムカムカしている。


 こうして立っていられるのはやはりおっぱいが見れるから。


 それだけで気力をみなぎらせている。


「うわ~……ルーガくんのここ、カッチカチだぁ」


 決して愛棒のことではない。


 腹筋の話だ。団長がさっきからなぜか俺の腹筋をなで回している。


 へその周りをクリクリと指でいじってくる。


 団長、そんなおっさんみたいなセクハラやめてください。


 正直、このシチュエーションで勃っていないのを褒めてほしい。


 おそらく愛棒も酔っているせいでまともに機能していないのだろう。


 流石に酔って業務に臨むわけにはいかないので、今度から愛棒だけ酒に浸してみるか。


 そうすれば愛棒だけ酔うかもしれない、なんてな。


 ははっ、そんな訳あるか……!


 ……ダメだ。もうまともに思考ができていない。


 情けなさと恥ずかしさに顔を手で覆ってしまう。


「ったく、情けねぇなぁ。もう終わりかぁ?」


「……うっぷ……いいえ。俺は、俺はまだこんなもんじゃありませんよ……」


「……フッ、ガッツのある男は好きだぜ」


 負けてたまるか……!


 俺は……俺はおっぱいを見るまでは倒れられないんだ……!


「うぉぉぉぉぉぉ!!」


 団長の手から酒瓶をかっさらい、残りを飲み干す。


 そして、ニッと口端をつり上げた。


「よよいの――う゛ぇぇぇぇぇぇぇ」


「ルーガぁぁぁぁ!?」


「わぁ~、汚い滝~」


「いや、パチパチ手を叩いてる場合じゃねぇから! すいませーん、店員さーん! 何か拭くものくださーい!!」


「お客様、いかがなさいました――きゃぁぁぁぁ!? 裸!? なんで裸!?」


「しまったぁぁぁ!! すまん、ルーガっ!!」


 ぼうっと朦朧とする中、慌ただしく俺の気道を確保しようと介護してくれるカルラさんの姿を見て――俺は安心して意識を手放した。




     ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 翌日。


「……昨日の飲み会のことは忘れましょう」


「……そうだな。なんか変な気分になってたわ、アタシも」


「……私も……しばらくお酒控える……」


 無事黒歴史を生み出した俺たちは満場一致で記憶を封印することにした。






◇居酒屋の店員はその日以来、ルーガくんのルーガが目に焼き付いて忘れられなくなってしまったらしい。


実は数日前から新作投稿しています!

【勇者パーティーをクビになったので故郷に帰ろうとしたら、パーティーメンバー全員がついてきたんだが~追いかけてきたみんなと始める結婚スローライフ~】

https://kakuyomu.jp/works/16816700426011043454


こちらも異世界ハーレムラブコメになっております。

【団長のおっぱい】に負けないくらいのテンポでイチャラブ&コメディしています。ぜひぜひ読んでください! お願いします!!

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聖騎士になったけど団長のおっぱいが凄すぎて心が清められない 木の芽 @kinome_mogumogu

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