蕁麻疹
鮭さん
第1話
労働中の人間は素早すぎる。カニのようだ。国会中継なんかを見てると「すごく、ゆっくりだな。」と思うことが多いけれど、あれくらいが適当なんじゃないだろうか。みんな見習うべきだよ。なんて思い始めた社会人3ヶ月目の私は今瘡蓋を剥いている。先週の月曜日に蕁麻疹が出てたくさん掻いたから足が瘡蓋だらけになっている。色素沈着で黒っぽくなったりしている。水たまりのよう。うむ。蕁麻疹が去って傷だらけになった足は嵐がさった後の町のようだ。どこかから飛んで来たバケツやらなんやらのように瘡蓋やら掻き傷やらが散乱している。そしてそれは時と共に日常へ戻っていってしまう。なんだかそれが悲しくて私は瘡蓋をめくる。蕁麻疹があった歴史をこの体に刻むのよ。
瘡蓋は綺麗に剥がれ、そして新しいものができていく。勿体無いのでノリで固めて集めてみることにした。ぬちょぬちょぬちょぬちょ、ぬちょぬちょ。だんだん大きくなる。私の分身。「かさぶたけし」と名づけ可愛いがっていたが、ある日ゴキブリに食べられてしまった。
蕁麻疹 鮭さん @sakesan
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