数字 一番

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 数字の一というものは特別だと思う。


 絶対にして唯一って感じがする。


 誰も追いつけないはるか高み。


 孤高の存在。


 私にふさわしい数字よね。





 私は、学校の掲示板で今期のテスト結果を確認している。


 私が通っている所は、競争の激しい学校だから、こうやって毎期ごとに全生徒のテスト結果が張り出されるのよね。


 この学校、学力の高さが売りだから、平均点をあげるためなら他にも色々やってるわ。


 私の成績は、あったあった。


 よし、今回もちゃんと一番とれてる。


 やっぱり一番って気持ちいい。


 圧倒的な高みから、下の者達を見下ろす快感がついてくるもの。


 たまらないわよね。


 下々の阿呆ともを見下ろす快感といったら。


 この味を覚えたら、もうやめられないわ。


 でも、子供の頃からそうだったわけじゃないのよ。


 最初は、まぐれで百点をとって、両親にほめらたのが嬉しかったから……大好きな人達に褒めてもらうために頑張ってた。


 でも、たくさん一番をとるにつれて、より多くの人が褒めてくれるようになったから。


 こんな私になっちゃったのよ。


 これで、体調不良とか記入ミスとかで2位になっちゃうような事があったら、どうなっちゃうのかしら。


 私の代わりに1位をとった人に、勢いで襲いかからなきゃいいけど。







 さぁ、今日も成績の確認よ。


 えっ。


 二番?


 この私が一番じゃない?


 確かに熱が出てて調子が悪いかもって思ってたけど、そんなっ。


 私が一番じゃないだなんて。


 私の横で、驚いた顔をした人物がいる。

 平凡そうな、あきらかに一番という称号に向いてなさそうな、一人の少年が口を開いた。


「あれ? 俺一番じゃん」

「一番かえせぇぇぇ!」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

数字 一番 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ