第62話『滅びゆく力』
アグニ達のいる軍鶏鍋屋本店に、リョウマがやって来ました。そしてピエタから話を聞いた彼女は作戦を理解しました。
「よし、ペミスエはウチがぶちのめしたる!!」
リョウマは血気盛んにそう叫びます。
「ペミスエ・・・か・・・」
勇者は少しだけ自らの辛い過去を思い出し、そして軽い頭痛を起こしました。
「まさか・・・あの女が・・・・・」
ルクレが気分を害していたとき、猛るリョウマをピエタが嗜めました。
「落ち着かんか。明日の明朝、奇襲をかけるんだぞい。今日は早めに休むとしよう」
ピエタがパーティを解散させようとした瞬間、少し気を取り戻し始めたルクレが、リョウマのホルダーに収められている拳銃に目をつけました。
「・・・キミ、銃を使うのかい?」
「ああ、そうだ。こいつはウチのとっておきの武器だ。おまん、銃を知ってるんか?」
「まあね。その銃、僕の特殊能力で、もう一つ複製できるよ」
ルクレの驚きの発言に、一同は驚愕しました。
「勇者よ、一体何をするつもりじゃ?」
「まあいいから、貸してごらん」
「ホントか、じゃあ頼む」
リョウマは言われるがまま、リボルバー式の拳銃をルクレに託しました。
そして勇者は特殊能力、神の
するとなんと銃が二つに分裂したのです。
「おおっこいつは凄いぜよっ」
「一つの物につき一回しか複製できないけどね。ちゃんと魔綬も全部付いているよ」
そう言って、ルクレティオはリョウマに二丁になった拳銃を渡しました。
「よおし、これでウチも大望の二丁拳銃じゃき。ありがとな、勇者さん」
「どう致しまして。それから、これから君達全員の体に魔族と神特攻の二つの魔綬をかける。効果は一日しか持たないし、時間経過で効力はほんのちょっとずつ弱くなっていくけど、素のレベルが高ければ高いほど、絶大な威力を発揮するはずだよ。君達のレベルが解らないから、どれだけ強くなるかは知らないけどね」
「そうか、確か勇者殿は魔綬使いであったな。一体その魔綬を人体にかけるとどうなるのじゃ?」
「今からかける魔綬なら、対象者の基礎体力が大幅に上昇し、攻撃、魔法に魔族特攻と神特攻、そして魔族と神の攻撃や魔法、特殊能力による攻撃等に強力な耐性が付く。その効果は絶大で、魔族に通常よりも大きな一撃を浴びせられるようになるし、大きなレベル差があっても、敵の攻撃や魔法等の攻撃に耐えられるようになるよ」
「ほう、便利じゃのう」
「ただし魔綬をかけるには、男なら背中、女性なら胸元に手をあてないと駄目なんだ」
「なんと、男と女でかけ方が違うのか」
「まあね。じゃあまずは質問の多い子供ピエタちゃんから」
そういうと、勇者はまずはピエタの胸元に掌を置き、魔綬をかけ始めました。
「おお、なんか全身がぽかぽかしてきて、心地よいのう。温泉に浸かってるみたいじゃ」
「5分ほど待ってくれる?」
「うむ。お主の寿命は縮まないのかえ?」
「魔綬や特殊能力を使っても寿命が縮む事は無いから、安心してよ」
漣は少しため息をつき、胸元に装備していた胸あてを外しました。彼女の豊かな胸が露になります。
「次は漣、キミだよ」
「絶対に、手を動かしたりしないでよ」
「わかってるよ、グヘへ」
そしてルクレは漣の大きく綺麗な形をした胸に優しく手を置きました。
「(ああん、もう・・・これやだ・・・すごい心地いいけど、・・・ホント、早く終わってっ)」
漣は勇者の魔綬に頬をかすかに赤らめ、体を微妙にのけぞらせていました。
その後、アグニ、リョウマ、マテウスなどの女性陣にそれぞれかけていき、その後男性陣にも魔綬をかけていきました。
ライカールトは豪壮な鎧を身につけていた為、魔綬をかけることが出来ませんでした。
「このままだと鎧に付いちゃうよ。悪いけど、脱いでくれるかな?」
「これは失礼。なにぶん魔綬というのは初めてなものですから・・・」
ライカールトは鎧を時間をかけて豪快に全部脱ぎ、、ブーメランパンツ姿の状態になりました。
その筋骨隆々の豪快な体を見たマテウスは頬を染め、顔を背けます。
「全くもう、ライカールトったら・・・脱ぎたがりの見せたがりなんだから・・・」
「あいつ、滅茶苦茶強いけど、ちょっと抜けてるんだよな・・・」
ファルガーもライカールトの奇行にやや呆れ気味でした。
「では、お願いいたします」
「いや、全部脱げとは一言も言ってないんだけど」
ルクレは愚痴を零しつつ、ライカールトに魔綬をかけました。
こうして勇者ルクレティオは全員の体に魔族特攻と神特攻の魔綬をかけたのです。
「よし、これで本当に準備完了じゃな。では明朝、4時に奇襲をかけるぞい。今日は早めに休むとしよう。では、解散じゃ」
ピエタの指示通り、一同は解散し、リョウマの経営する宿屋に向かいました。
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