第8話 何でも屋オープン?
『マスター。小屋の設置及び看板の設置が完了致しました』
「ありがとう。ベータは優秀だな」
我が家ということもあり、久々に倉庫も含めて見回りながら確認していると、目についた本を読んでしまっていた。
『お褒めの御言葉ありがとうございます。早速、投函されましたがこの場で内容をお伝えしてもよろしいですか?』
「ん⋯⋯あぁ?」
人が⋯もう⋯通ったのか?
【ツミキ様〜私達の不甲斐なさにお怒りはごもっともですが、今一度お話をさしてください〜(泣)byリリィ】
「あぁ⋯⋯そういやいたな。姿は黒いが、やはり家に帰ってる気分一つで、外の事なんてどうでもよくなってたな。ちなみに何時間ぐらい経ってるんだ?」
『まだ5時間ぐらいですね。投函された硬貨を解析した結果、銅貨であり名称はリンと呼ぶそうです。あ、また投函されましたので読み上げます』
【うぅ⋯⋯お願いします。今一度会話をお願いします。なんでしたら私の全てを差し上げますのでどうかどうか⋯⋯ぽっ(恥じらい)】
「いらないな⋯⋯(即答)」
『次は銀貨を入れてくれたみたいですね。解析結果、銅貨100枚分ですね』
「なら金貨は銅貨10000ぐらいか」
『そうですね。それとは別に白金貨や虹貨(こうか)がありますね』
「ふむ」
『また投函されましたね。次は金貨と⋯⋯これは服ですか⋯⋯。プラチナ糸でつくられたレア度7の高級品ですね。読みますね』
【⋯⋯あと2回で全裸になりますからね! そうなった場合、私はこの小屋で発見された人種や動物達に⋯⋯】
『不愉快ですね。マスターの小屋を汁まみれにするつもりでしょうか? 許可さえ頂ければ黒穴に吸い込ませて消滅させますが?』
「汁⋯⋯って⋯⋯」
『お答えしてもよろしいでしょうか?』
「いや、やっぱいいわ。で、リリィの服はどうなってるんだ?」
『いまは下着のみですね。いま上の下着を脱ごうとして⋯⋯あぁ、そのまま投函されました』
まだ温もりがある下着を渡そうとしてきたが拒否する。
「はぁ、めんどくさいが話だけは聞きに行くか⋯⋯服を返してやってくれ」
『分かりました。しっかりと投げ(返し)つけておきますね』
「思ってる言葉と喋る言葉を逆にしない様にな⋯⋯」
まぁ、ある程度は本気なのだろうけど。
「うわぷ!!」
服といえど大砲並みの勢いで発射された丸めた服を当てられ軽くふっ飛びながら転がっていく。
「ひどいです。この⋯⋯誰もが求める美貌と肉体⋯⋯」
『申し訳ありませんが、マスターには貴方程度の女ならいくらでも手に入れる事が可能ですよ』
「ばぶ」
(張り合わなくていいから、要件をきいてくれ)
『で、何か他に御用ですか? なければお引き取りを』
「この度は精霊樹を育てて? いただき誠にありがとうございました」
「ばぶばぶ」
(育てたっていうか破滅に追い込んでるような気もするがな)
実際、あと1日滞在してればほぼどこかの冒険者や魔族に見つかり侵略されていただろうとアルファが言ってたしな。
『はい。こちらこそ数時間程度ですがマスターを預かっていただいた事に感謝します。これで貸し借りはなしという事で⋯⋯はい、お引き取りを』
「ままま! 待ってください! ていうより、話し方が前と違うのも気になるし、他に用件もあります!」
『これは失礼を。アルファは現在マスターのドストライクな女性になる為の調査を急ピッチでしておりますので表には出ることが出来ません。その代わり、私ベータが代わりをしておりますので、以後お見知り⋯⋯しなくてよさそうですね。はい、さようなら』
(ドストライクな女性ってなんだ? 初耳なんだが⋯⋯自我の形成って言ってなかったか?)
『自我の形成=マスターのドストライク女性ですよ? そもそもマスターの為だけに存在しているのに、今更一般人程度の自我で満足するはずがありませんよ』
(うわぁ⋯聞きたくなかった。面倒ごとの匂いしかしないな⋯⋯)
『そもそも肉体もありませんからね。ツミキ様が肉体を見つけない限りはどうしようもないかと思われます』
(そうか)
じゃあ、見つけないようにしないとな(切実)。
「あ、はい。えぇと改めまして私の⋯⋯って! せめてもう少し仲良くしてくださいよ! お見知りとかいってキャンセルするなんてひどいです」
『ひどいと言われようが、仲良くなるメリットがありませんし、自己紹介もアルファの意思を受け継いでおりますので、自己紹介などは不要ですよ。で、用件というのは、まさか精霊樹との共鳴をしてほしいとかではないですよね?』
「え! どうして⋯⋯それ⋯⋯いえ、いえいえいえ(汗)」
(精霊樹と共鳴したらどうなるんだ?)
『簡単に言えば魔力供給源となりますね。離れていても摂取できますし、樹の方から必要な分だけ主人から吸い取ることができます』
(それなら、樹にとってはメリットだらけなんだが、俺にとってのメリットはなんだ? 共鳴したらもっとこう⋯土地に縛られるみたいなイメージだったんだが⋯⋯)
『目の前にいる巫女程度の魔力では樹からは離れる事はできないでしょうが、マスターはどこにいても問題はないかと。ただ、それに見合った報酬が精霊達程度では出せるとは正直に思えれませんね。ボランティアでマスターの魔力をつかうなぞ。言い方はともかく下にみてるとしか思えれなく不愉快です。マスターのメリットでいえば⋯⋯なんというか領地改造ができますね。土地を広げたり狭めたり水を通したりなど』
(要するに土地経営者になるだけか)
『⋯⋯はい。それだけですのでメリットというには⋯⋯。まぁ、精霊達全員の生命を握れるともいえますが⋯⋯マスターが得するという言葉には当てはまりませんね。もしかするとマスターが過ごしやすい環境を整える事が可能かもしれませんが、現状の発展では難しいと思われます』
(なるほど。まぁ未来への投資という意味で言えば有りか⋯⋯)
ただ、未来に投資できるほど情報がない。それに精霊達の意見だけ聞いても信用はできない。第二第三者の意見も聞きたいところだが⋯⋯。
「それで⋯⋯どうですかぁ? いまなら未婚の精霊達が全員ついてきますよ?」
「ばぶぶ」
(てか、俺が女に釣られると思っているのか?)
「そうじゃないんですか? 成長のために沢山のミルクが必要かと」
「ばぶばぶ」
(成長というか、おれは既に18歳だぞ?)
「えぇっと。それは理解しております。歳の割に成長していないのは気になりましたし、条件は分かりませんがミルク飲めば成長していますよね? 昨日よりほんの少し成長しているように見えますが」
「ばぶ?!」
(なんだと? それはどれぐらい大きくなったんだ?)
「えぇっと、見た目の話じゃなく経験値の話です」
(ベータ。今の言葉は真実か?)
『確証はありませんが可能性はあります。一応ステータスにも入れておきましたので確認をお願いします』
ツミキ LV0
経験値 3680/100000000
『この3680という経験値がどの部分で入手できたのかが、検証情報が少なくて確証できません。ただ、モンスターを倒しても手に入っていませんでしたので、母乳飲むという可能性はありますが⋯⋯経験値の為とはいえ成人されたマスターに乳を吸ってくださいと進言するのが⋯⋯。ですので、1日経てば経験値が手に入る可能性をさきに検証しようかと思った行為をどうかお許しください』
(いや、許すも何もベータの気遣い助かっているから気にするな。ただ精霊達が気づいて発言していることから、母乳を飲んで経験値手に入るのは濃厚な線だな。まぁ他に考えられるケースもあるんだが⋯⋯)
『他のケースですか?』
(あぁ、例えば親子の絆による形という実現だな。もっと細かく言えば、母が子に向けるような慈しむ愛情表現というべきか⋯⋯。昨日の湯浴みもだが、俺への恐怖からかもしれないが落とさないように大切に扱われたのも。まぁどちらにせよ表現という見方からしても母乳は表現しやすいだろうが⋯⋯)
『なるほど。その可能性もありですね。どういう理屈で3680という経験値かと思っていましたが、それなら納得ができます』
「あぅあぅ」
(もしかすると、このLV0が1になれば、それは一歳になる可能性もあるのか?)
「断定はできません。が、その可能性はあると思います。生命を持ち生まれた者は例外なくLV1です。流れ人ーー異世界の迷い人でも本来はありえないのですが、ツミキ様はどうにも枠からはみ出しているみたいですので」
「ばぶぅ⋯⋯」
(歳をとるために経験値をあげる⋯⋯か⋯)
最大のメリットは言わずとも魅力的だろう。成長すればする分だけ、力を制御できるだろうし、出来ることも増えてくる。自分の部屋に戻れば飯の心配などもないが、それだと前に進むことはできない。せめて10歳程度になれば力の制御次第では街で暮らすことも可能だし、住民ともコンタクトもしやすくなる。
(あれ? まてよ⋯⋯)
そう考えると⋯⋯3〜5歳が限界じゃないのか? たしか抵抗能力を上げるために、5歳までは母乳で育てる人もいると聞いた事があるが、現実では3歳程度で長い方だろうが⋯?
コレが10歳で⋯⋯乳を飲む姿⋯⋯。いやいやいや、考えるまでも無くソレは否だろう。そう考えると親子の絆や愛の形で経験値が増えていくと考えた方がまだ詰みではなくなる。
「すみません。狭間を生きている精霊達の歴史でさえ、その症状は無かったので⋯⋯」
「ばぶばぶ」
(いや、問題はない。経験値の事でも十分助かった。精霊樹に関しては一旦保留にさしておいてくれ。そもそもこっちに来たのが昨日で情報を聞いただけの新米(ひよっこ)だからな)
『災厄のひよこですね』
⋯⋯間髪入れずに突っ込むなよ。
「⋯⋯分かりました。こちらでも少し調べてみる様に致しますね。もし、なにかあればいつでもお呼びください」
「ばぶばぶ」
(ありがとうな。まぁ何かあったら連絡をするからその時はよろしく頼む)
「はい。えっと、それでですね⋯⋯」
「?」
「今日の分、飲まれておきますか?」
白い肌がピンク色に火照っているのが、はっきりと見える。
「⋯⋯うぅ」
(迷う⋯⋯いや、経験値を上げる為と思えばいいのだが、これは拷問をして吐かせる仕事ではなくただの純粋な⋯⋯)
中身は高校生でそういう知識や技術も既に年齢は遥かにこえているが⋯⋯見知らぬ人のを吸うという行為、そのものに動揺するとは⋯⋯まだまだだな⋯⋯。
「ああ、いえ、経験値の為ですよ!! そりゃちょっと(実はかなり)は気持ちいいですが⋯⋯検証! そう! 検証の為にももう一度しておかなければいけませんしやっておいた方がよろしいかと! ⋯⋯と、言ってみたり〜?」
恥じらう中に本音も混じって入るが、それでもあえて立ててくれるのだろうという気遣いにむず痒くなる。
「ばぶばぶ」
(悪い。なら頼む。ベータは経験値をみておいてくれ)
『わかりました』
そのあと、リリィが気持ちよさのあまり、服を全部脱ごうとしたり、飲ませながら空いてる方の手で自分で盛り上がろうと暴走しかけてたが、なんとか収めることに成功した。
『どうやら、拷問の一環として習った快楽を味わさせる技術が反映しているようですね。これならどんな女性でも落とせますし飲み放題ですね」
(そう考えると俺自身バグだらけだな)
赤ちゃんスタイルは歩けば破壊、触れば破壊。龍体時は存在が災害。経験値の為に吸おうとすれば快楽に堕落。
その後、精霊卿で色々試した結果。
:母乳を吸えば経験値が上がる(初回は数百程度で2度目からは1ずつ)
※ただし、0〜2経験値の差があり、年齢などでは左右されない何かの条件がある。
:お世話されても0〜2程度の経験値。(初回の高ポイントは無し)
ツミキ LV0
経験値 5679/100000000
ひと段落ついた結果。
「ばぶ」
(諦めよう)
『え!?』x50
女性陣がショックを受ける。
「ばぶばぶ」
(効率悪すぎ。あえて狙ってやる程の価値もない。正直、この程度なら普通に過ごしてじんわり溜め10数年後に「お、上がったな」程度でいい。何よりデメリットが多すぎる)
デメリットとはなんだと聞いてくる女性陣だが、冷めた目でその光景を見る。
「ばぶばぶ」
(1000程度上げるだけで、こんな⋯⋯酒池肉林みたいな光景になるんだ。これにもしマイナスポイントも付与されてる状態だったならとっくにマイナスになってる)
少し前まで他人の乳を吸うのに動揺はしたが、それも一瞬⋯⋯今では冷めた目で見れるほどにはなったのであった。
チート転生したけど、もれなくバグがついていました。 古狐さん @nax2tusaya
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