第1話
ソファに寝転がってスマホを弄っているとピコンと音が鳴った。
それはとある友人からのメッセージだった。
まあ、友人と呼んでいいのかわからないような相手だが。
メッセージの内容は飲み会の誘いだった。
大学生の荒木田ゆうまは友達がおらず、大学でもほとんど一人で過ごしている。
単に他人と関わるのが嫌いだからだ。
今メッセージを送ってきた奴は高校時代から仲良くしててたまたま大学が同じだっただけ。
嫌いでも好きでもどっちでもない。
「・・・はぁ。飲むか。」
スマホに素早く『行く』と一言打ち込んでは溜息を吐きつつも起き上がって呟いた。
普段はあまり行かないがお酒は好きだし半分奢ってくれるからという理由で行くことにした。
待ち合わせは19時。現在時刻は17時過ぎ。
時間まで余裕あるしシャワー浴びたりなんだりして時間を潰すことにした。
19時。
待ち合わせ場所に着くとメッセージを送ってきた張本人、霧島拓斗が飲み会メンバーと外で会話をしていた。
「おー、ゆうまー。」
「んー。」
拓斗がゆうまの名前を呼ぶと他のメンバーもゆうまのことを見ては挨拶をしてきた。
それに対し軽く会釈する。知ってる人もいれば知らない人もいる。
すると不意に背が高めの奴と目が合い微笑まれるが、ふいっとそっぽを向き無視した。あーいういつもニコニコして優しいオーラ出す奴あんま好きじゃない。
まあ飲むだけだしと思い店内に入り店員に空いた席に案内されぞろぞろと皆椅子に座った。
そして何故かゆうまの隣に座るさっきの男。
(・・・・なんか嫌。)
そう内心呟いては拓斗に注文をお任せし酒が来るまで待つ。
周りはみんな楽しそうに盛り上がっているけどゆうまはあまり会話には参加しない。
皆もあまり話しかけてこないし、一人スマホを弄っては注文した物が来るまで待っていると隣にいた奴が話しかけてきた。
「ねー、名前聞いてもいい?」
「・・・ゆうま。」
「ゆうま君か~。」
そわそわしながら名前を聞かれ少し間をおいてから小さく呟いた。
名前を知れたのが嬉しかったのだろうか表情がぱっと明るくなりニコニコとし始めた。
(なんなんだこいつ・・・。)
自殺願望者の僕が出会ったのは 陽ノ澄 @kiyo88
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。自殺願望者の僕が出会ったのはの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます