藤宮和雄 4
研究所までの廊下は薄暗く、所々に点いている電気が不気味に見えたが、僕にはどれも気にならなかった。
部屋に着くとまず父が丸椅子に座らされ検査が始まった。途中で証拠写真ということでフラッシュが焚かれた。
父の次は僕の番だった。椅子に座り、綿棒で粘膜を取られ、フラッシュを焚かれる。一つ一つの作業が僕の新しい人生の準備だと思って胸が高鳴った。
心のどこかで自分は父の、藤宮晃の子ではないと確信していた。
取り違えの電話がかかってきてからの父の行動はとても早かった。どこにそんな金があるのか全く見当がつかなかったが、父は弁護士まで用意していた。当然のことだが、検査結果は一週間後にその弁護士のもとに届けられることになった。
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