魔王、薬草採集をする。




エレナが最初のクエストは簡単なものからしたいという事で薬草採集のクエストを受ける事になった。


「アラン、こんな薬草あるの知ってた?」


クエストを受けたのはいいが、薬草を見分けられない事に気づいたエレンがギルドで借りてきた薬草図鑑のページを開きながら俺に聞いてきた。


「薬草なぞ知らぬな」


図鑑見ながらの薬草採集には時間がかかるだろうが、我には秘策があった。


ククク、この前身体を魔改造・・・したからな。

全てを見通すこの魔眼さえあれば、図鑑なんぞに頼らずとも見ただけで薬草かどうか分かる。


王都から歩いて片道4時間の所にある森に来ていた。

本当は転移で時間を節約したかったが、たとえ勇者とて人間に転移など使える者がいるとは聞いた事がないからな。


一応、魔王(勇者)との約束があるので疑われるような事は極力控えるようには考えていた。


「結構ここまで来るのに時間かかったね!時間も惜しいし、ちゃっちゃと採集して行こうよ」


朝早くに王都を出たが今の時間的にはお昼前になる。

今日は野営をするつもりだが、できるだけ採集はしておきたい。


「あまり我から離れた所に取りにいくのではないぞ」


「アラン…」


ククク、ただでさえつまらん採集なのだ。

暇つぶしにエレンのケツでも眺めてなければやってられん。

だが、時と場合によっては、ククク。


我は魔眼を発動させながら辺りを見渡していく。

ククク、大量ではないか。


これも。これも。あっちにもか。

ほうほう、こんなものまでか。

ん、これは…ククク。


我は魔眼を発動したままエレンに視線を向ける。


図鑑片手に必死になって薬草採集をしていた。

下の薬草を取ろうと腰から折れ薬草に手を伸ばす。


魔眼を発動し、我には裸でケツを突き出してるようにしかみえないポーズに我のスイッチが…


いかん、いかん。ここは我慢だ。

こんな物を手に入れてしまったからには

今晩の楽しみにとっておかなければ。ククク。


「アラン、薬草は取れてる〜?」


我はエレンの問いかけに背負っているカゴの中を見せる。


「うわー!アランすごいね!色んな薬草とってる」


我のカゴを見て大量だと喜んだ。


「ここら辺は粗方取り尽くした事だし、今日はもう野営の準備を始めようではないか」


二人で野営の準備を始めていく。


採集中取った山菜のスープを作り、それだけでは味気ないなと考えた。


「サーチ」


感知魔法で近くを感知してみるとホーンラビットという魔物を発見し口角をつり上げる。


「エレンよ、我は食料を確保してくる」


「ア、アラン!?」


ククク、逃がさんぞ!

待っていろ夕食よぉぉぉ!!!



「美味しいね!アラン!」


逃がさず仕留めたホーンラビットの肉を焼き、スープ、それに持参していたパンを我たちは食べていた。


「そうだな」


一仕事終えた後の食事は焼いた肉もスープ、パンという質素な物でも美味いものだな。


「ねぇそう言えば、アランは色んな種類の薬草とってたね!」


そう言い、エレンは我が取ってきた薬草を興味深そうに取り出し眺める。


「これは何の薬草?」


「それは、シニそう。解毒薬の元だな」


「じゃ、この薬草は?」


「シビレ草だ。麻痺を治してくれる」


「すごいね!この青っぽい薬草は?」


「ネムレ草だな。不眠症改善に繋がる」


「アランはほんとに詳しーーッいッん」


「そろそろ聞いてきたか」


「ア、アラン?な、何したの?」


「エレンが食べたスープに、ちょっとた薬草を入れておいた」


「や、薬草?なん…の?」


「カンジ草だ。それを食べれば感度が数倍に跳ね上がる。若者の間で今流行ってるらしいぞ」


「そんなもの…い、入れて、えッあッん」


ククク、少し触れるだけで感じているではないか。


「ククク、エレンよ。我もタチ草という薬草を食べたからな」


「あまり聞きたくないけど…その、その薬草って…?」


「男性機能の向上。食べれば三日三晩奮い立つ程の力が漲ると言われる。男性の中では伝家の宝刀と言われている薬草だ。ククク、今晩はいつもより楽しめそうだ」


「アラン、て、手加減して、ね?お願いだからーーーあッんーーあーーーーんッ♡」



ククク、手加減などできるわけがなかろう。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

鬼畜魔王は勇者を演じてみた。 マッサン @massan21

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ