第793話 愛と行動

10号車のミシェルは、ひと足先に

眠ろうかと思い


その前に、ロビーカーにある

シャワー室へ行って来ようと。


バスローブを持って、それと

タオルを持って。



7号車に向かった。



一両全体がロビーの、豪勢な作りは


国鉄ならではのもので



私鉄だったら、儲けにならないから、と

バーカウンターにしたりするだろう。




実際、カウンターもあるのだけれども

お酒の提供が、芳しくないと言う(笑)


そこは国鉄である。



でもまあ、自販機のビールくらいは飲める。






そうして、お仕事の移動らしい

ビジネスマンが、お酒を飲んでいる隣を

通って




シャワールームが3つ。



そこに、ミシェルは入った。





誰も使っていない。




床に、水滴ひとつ落ちていないのは


10月の終わりで、そろそろ北の地方は寒い、

そんな理由もあった。




ドアをロックしたけれど、なんとなく

外がロビー、と言うのは落ち着かないのは



いつも、ミシェルが


静かなところに住んでいる、そういう理由もあったりする。






さっき、ガウンに着替えたので


シャツとパンツだけを取り、ミシェルは

白い裸体になった。




細身で、わりとやせ型。



筋肉質ではなく、病弱だった雰囲気は

少し残る。



鏡にうつる自分を見ても、そんなに

男らしいとは思わないミシェルだけど




女の子に、「かわいい」と言われても


他の男子みたいに嫌悪な気持ちにはならなかった。




特別、男の子だと言う事を忌避するつもりもない。




不能なのか、と思ったが

そうではなくて機能はある(笑)。





だけど、夢想で

めぐお姉ちゃんを抱きしめても

抱擁したい、と思うだけで







だから、


めぐお姉ちゃんに抱き着いた時も


別に、ふつうの男子がするような

行動が目的ではなかったのだけれども(笑)。




それは、めぐにはわからない。



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ふたりのMeg 深町珠 @shoofukamachi

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