主人公タイプの分類
https://kakuyomu.jp/works/16816452218871395908/episodes/16816452220670076330
上記にて以前書いた「主人公の成長要素の有無」に補足して、主人公のタイプを分類してみようと思います。
結論から先に言うと、「上・中・下・反」の四種類に、成長の有無を掛ける事で八種類と言った所でしょうか。
「上」というのは憧憬型。
主人公の存在が読者よりも上にあり、憧れの対象となる存在。古今東西の英雄物語は大抵はコレでしょう。
「中」というのは共感型。
主人公は等身大で、読者とほとんど同じような生活水準、同じような精神性で、素直に自己投影が出来るタイプですね。現代劇などでは多い設定です。
「下」というのは同情型。
主人公は明らかに無力な存在であって、主人公たちがもし読者の目の前にいたとしたら、思わず手を差し伸べたくなってしまうようなタイプです。『マッチ売りの少女』や『シンデレラ』など、童話などに多く散見されますね。
これら三タイプの主人公は、総じて読者に応援されるような人物設定なのが共通です。
そして最後の「反」は、逆に読者に応援されないと想定される人物を意図的に主人公に据えている物です。犯罪者などの半生を通し、何故道を誤ったかという点を描き、こんな選択をしちゃいけないよという反面教師の物語として機能します。
そしてそれら全てに成長要素の有無があります。物語の中で主人公の成長を描く物と、最初からキャラクターが完成されている物とに分かれます。
「上」の場合は、英雄として最初から完成されている物もありますが、神話などを見ると、如何にして神にまで登ったかの試練を描いていたりと、何だかんだで成長型の物語も多いです。
「中」の場合は、主人公の成長がメインテーマになっているかどうかで別れます。主人公が経験を通して成長していく物語も多いですが、例えば何らかの事件の顛末を描く上での語り部として登場した主人公である場合、主人公の成長要素が無い物もそれなりにあります。
例えばミステリーに登場する名探偵は、別に本人の成長要素が無いですし、読者も別にそこを求めていないわけですね。むしろ名探偵は最初から完成してて欲しいというのが本音でしょう。
※ミステリーの名探偵はどちらかといえば「上」かもですが、「中」に据えられた人物が何らかの事件に巻き込まれ必死に解決する作品も多いですね。ホラー作品などはほとんど「中」主人公でしょう。
「下」の場合、非力な主人公が成長要素を以って自身の力で困難を乗り越え、よくやった! と読者に祝福されるような話が想定されます。そしてこのパターンで成長要素が無い場合、成長の猶予を与えられずに悲劇を迎える事が多いですね。上記で挙げた『マッチ売りの少女』などは典型でしょう。
※そう考えると『シンデレラ』は、唐突に魔女が出てきて助けてもらうチート展開とも言えますがw
「反」の場合の成長要素ですが、これは自らの犯した罪に対し悔い改めるかどうかを成長と捉えても良いかもですね。自らが犯した犯罪から逃げ続け、色んな人との交流によって自身の罪を見つめ、それを悔い改める話。ドストエフスキーの『罪と罰』などはここに該当し、あれもまた成長物語と言えるでしょう。
一方でこのパターンで成長要素が無い、つまり人格が完成されているというのは、自覚的に犯罪を犯し、それを最後まで悔いない、絶対悪のような主人公と言って差し支えはないと思います。
『バットマン』のジョーカーや、『羊たちの沈黙』のレクター博士など、彼らを主役にしたスピンオフが作られている事を考えれば、そんな悪の主人公もまた需要があるのだとよく分かります。
と、このように八種類に分類しましたが、どのタイプの主人公であっても名作と言われる作品は存在するのですよね。
作品そのものの良し悪しに、主人公のタイプそれ自体はほとんど関係はないと結論付けて問題は無いでしょう。
強いて批判されがちな作品に共通しているのは、作者の思うタイプと読者の思うタイプに乖離が生じているという事です。そこに違和感や不快感が生まれる要素が隠れているのではないでしょうか。
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