登場人物の美形アピールについて思う事
カクヨムのトップページで見かける作品タイトルやキャッチコピーを見渡すと、まぁ結構な確率で「美少女」や「イケメン」などという言葉を見かけますね。
なぜそうも氾濫するのだろうかと思う所があったりします。何しろここにあるのは基本的に小説なのだから、外見そのものを視覚情報として見る事が出来ない以上、そもそも重要性を感じないんですよね。
勿論ですが、物語の都合上、そうした外見に生まれついてしまった人特有の物語として成立しているならば何の問題もないんです。例えば「その生まれついての美しさゆえに、多くの男を惑わせ国を滅ぼし魔性の女と呼ばれてしまった悲劇のヒロイン」とかですね。
しかし別段そういうわけでもない事も多々あるのです。
小説という媒体は、むしろ感情の移ろいなどの内面描写の方が圧倒的に得意な分野であるのだから、その人の人柄など内面的美しさを描く方が良いに決まっているのですが、どういうわけか外見の描写に拘る人が後を絶たないのです。
自分の作品で外見の描写を入れる時は、美醜と言うより、そのキャラクターの人物像が見え隠れする部分に注力します。
歴史物を書く事がほとんどな自分の場合、例えばその服装などから民族の判別をさせたり、服の状態から人物の貴賤を想像させたり。顔に大きな古傷があるなどを入れれば、何らかの戦いに身を投じて生き残った人だなとか、そういった情報から読者に想像させる事を意図します。
話が少しそれましたが、強いて言いたいのは何よりも、地の文でやたらと美醜について言及するのは、一言で言うと「下品」に感じてしまうんですね。
現実の人間関係や恋愛などを省みれば分かるように、外見にしても、内面にしても、それを気に入るかどうかは個人差があるものです。友人から「この人かわいいよね/かっこいいよね」と同意を求められても、そこまで共感できないなど、誰にでもある経験だと思います。
そして事あるごとに同じ同意をその友人が求めてきたらどう思うでしょうか。
一人称視点の作品であれば、主人公がそう思ったのだから仕方ないとは思うので、まだマシではあるのですが、出てくるキャラ出てくるキャラ、全部そんな風に説明されたら「この主人公はどんだけ惚れっぽいんだ……」という呆れが当然ながら生まれます。
三人称視点の地の文(作者の言葉)で並べられた日には、もう本当に「文章が下品」という感想しか出てこないんですよ。
強いて言うなら、通販で商品を探している時に、サクラレビューが並んでいる商品を見た時のような感じです。それが例えどんなに良い商品でも印象が悪くなるのは仕方がないと思いませんかね。一言で「下品」と。
話がまとまらないですが、そもそも文字だけでしか発表していない小説媒体で、美少女だのイケメンだのの美形アピールって、そんなに必要なんですかって話ですハイ……。
やはり、書籍化した際の挿絵、アニメ化した際のキャラデザなども(そこに至るかは別として)想定しての外見描写なのでしょうか。
だとしても作中で「醜い」という描写を特にしない限り、あえて美形アピールせずとも、結構な確率で美形に描かれるのがこの界隈の常だと思うんですけどねぇ……。
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