第3話——もしひよりんだったら、神対応だったな――
その日の夜。久しぶりに、あんなに走り回ったので疲れきっており、早めに布団に入ることにした。
(というか、超インドア派の俺があんなに走ったらダメだって……。さすがに歳かな?)
すると、俺のスマホに誰かからメッセージが来た。
——「奇跡!!が起こりました」——
それは、ひよりんの自身のブログ「ひよりんの隠れ家」からの更新のお知らせだった。このブログでは、ひよりんが週に3日、4日自分の仕事の事や、プライベートでの出来事を投稿してくれている。ファンからもコメントが打てたり、いいねなどもできるので、最近では身近に応援できるということで、大変人気になってきている。
俺は、ひよりんがブログを更新した時に真っ先に見れるよう、いつも通知をオンにしている。まあ、このくらいオタクなら当たり前だよな?(にっこり顔)
「どれどれ……えっ」
俺は通知バーからブログのサイトにとび、ブログを読んでいたら、思いもよらなかった文に自分の目を疑った。
『皆さん! こんばんは〜。今日もお仕事や学校お疲れ様です。突然ですが、皆さん! 聞いてくださいよ! あのですね、私今日、とあるオーディションを受けに向かっていたら、色々あって間に合いそうになくなってしまって……! そしたら、心優しい方が道案内して下さり、なんとか間に合ったんです! 本当にその方には感謝です。あの時、よくお礼が言えなかったので、ここで言います。本当にありがとうございました!』
俺は、まるで今日自分が体験した事が書かれているようで、驚きが隠せなかった。
(もしかして、今日会った彼女は……)
コメント欄には、「えっ。ひよりんと会話できるとかご褒美やん」とか、「ええー! 超うらやま! でもその人ひよりんが人気声優だって知ってたのかな?知らなかったなら、すごい損してるよなw」などが書かれており、終いには「いや、おれ、夢の中でそういう事あったな」など意味が分からないコメントまであった。
「いや、まさかな……」
俺は、彼女がひよりんだったかどうか全く思い出せなかった。でも確かに声は可愛かったな。でもひよりんの地声もっと高めで天使みたいな声だもんな……。それに、顔もサングラスでよく見えなかったし……。でも、言われてみれば、ひよりんっぽいと言えばそんな感じもするような。俺は、とにかく毎回コメントをしているので、「え〜、その方うらやまですね〜w偶然だけど、俺も今日そんなような経験したんでびっくりです!! これは、ひよりんと意思疎通かな?! w冗談ですけど……。でも俺だったらすぐにひよりんだって気付くけどな〜」
俺はそうコメントして、PCをそっと閉じた。
同じ時刻——ある女の子らしい部屋で、ソファにおかかり、スマホを見ている人がいた。彼女は、人差し指でスマホを手早に上にスクロールしていた。すると、あるコメントを見つけ、彼女は少し微笑んだ。
(ユーザー名)Mashiro.O
「え〜、その方うらやまですね〜w偶然だけど、俺も今日そんなような…………」
人気声優と結婚できる5つの条件 のだめ @nodamekokoa
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