第11話 イブの約束
ある日の事だった。
優綺からメールが入っていた。
クリスマスイブに関しての事だった。
『クリスマスイブ一緒に過ごそう』
時間と場所を書かれていた。
そして
『歌音が来るまで待ってるから』
そういう内容だった。
12月24日。
クリスマスイブ。
外は雲行きが怪しかった。
「雪でも降るのかな?」
そして、私は待ち合わせ場所に行く事にした。
時間は、
AM10時。
映画館の前だ。
そういうメールが以前、届いていたのだ。
予定の時間になり、優綺は現れなかった。
まだ時間はある。
少しの誤差はあるだろう。
そう思い私は、そこまで気にも止めずにいた。
しかし、時間は刻一刻と過ぎていく。
外の寒さを凌ぐように映画館の中に出たり入ったり。
ただひたすら待つ中、現れない優綺。
もし来たら連絡くれるだろう。
そう思い、一旦、映画館を離れた。
ブラブラと街中を一人ブラつく中、優綺に似合いそうな洋服が目についた。
ショーウィンドーと向き合いながら下にうつ向き崩れていく。
「…優…綺…騙したのかな…?」
++++++++++
「歌音…いるわけねーよな…」
車を走らせている優綺の姿。
++++++++++++
「すみません…あのショーウィンドーの洋服一式下さい」
騙されたかもしれない。
そう思う中、私は待たされた事に腹ただしい中、何処か、そう思いたくない部分と葛藤する。
++++++++++++
「歌音っ!」
「…………………」
「やっぱ……いるわけ…ねーよな……」
時間は、PM9時を廻っていた。
「…優…綺…?」
私は映画館の前にいる優綺が、目に付く。
ムカッ
今迄の思いが込み上げ怒りと変わる。
「樋野 優綺ぃーーっ!」
振り向く優綺。
「えっ!?歌…」
バコッ
雪玉を投げ、優綺の顔面に命中する。
「……っ!」
パラパラ…
雪玉の破片が落ちる。
「…っ…つ…冷てぇ…」
タッタッ……
優綺に駆け寄ると優綺の胸に飛び込んだ。
「…歌…音…」
「馬鹿ぁっ…!騙されたかと思ったじゃん…!」
「…ごめん…急に仕事が入って…仕事に追われて連絡するタイミングなくて…」
顔を上げると一旦離れる。
見慣れない優綺のスーツ姿に私は胸が大きく跳ねる。
大人だ……
仕事終わって急いで来てくれたのが分かる。
私みたいな高校生を相手にしてくれている優綺。
私は優綺に相応しいのかな?
一瞬、脳裏に過った。
「この埋め合わせ今からしてよねっ!」
我儘だ…
優綺は仕事で疲れてるのに……
「今から…?」
一方的な思いぶつける私って本当子供(ガキ)だ。
「そうだよ!」
「…そうだな…」
申し訳なさと疲れてる雰囲気を見せる優綺。
スッと優綺の片頬を触れる。
「…でも…明日も…仕事なら…良いよ…無理に言わない…」
「…歌音…」
私は先程買った洋服を優綺の手を掴み渡す。
「じゃあね!優綺。帰るね」
「えっ?歌音っ!ちょ…」
私は小走りで走り去り始める。
グイッと引き止められ背後から抱きしめられた。
ドキン…
「誰が帰って良いって言った?返事、聞かないまま帰るなよ」
「…い…良いよ…無理してほしくないから…だって優綺、仕事…」
キスで唇が塞がれた。
ドキッ
「…残念だけど…歌音を帰す気ないから」
ドキッ
「えっ!?」
「歌音こそ…無理して笑顔作って…何の為のイブだよ。俺、お前と過ごす為に誘ってたのに…」
「…優…綺…」
グイッと私の手を引き、車に乗せる。
「…優…」
キスをされる。
「今からは俺達の時間」
ドキン
優綺の行動や対応がいつもと違うような気がした。
大人の対応と言うべきか…
私の胸が今までにないザワつき…
優綺は運転席に乗り込むと、キスをすると今までにない深いキスを何度も優しく繰り返される。
私は声が洩れてしまった。
かあぁぁぁっ!と赤くなる私。
「こ…ここ…ま…街中だよ…」
私は誤魔化すように口を開く。
「イブなのに二人の世界ばっかじゃん!今更、恥ずかしからなくても良くないか?」
「…それは…」
何故かいつもよりも恥ずかしく感じる私。
「…好きな男(ひと)目の前にしてるから、歌音、女の子になってる。後で、歌音の色々な姿や表情、独り占めさせて♪」
かあぁぁぁっ!
体が熱くなっのが分かった。
《…優綺が違う人みたい…》
待って!
待って!
優綺って、こんなキャラだったっけ?
私が色々と思う中、車は走りだす。
「最近、バタバタで散らかってるから」
「大丈夫。一緒に片付けるから」
「そう?」
部屋に行くと、多少散らかっているものの、そこまでなかった。
片付けをし、優綺は脱衣場に向かう。
「一緒に入る?」
「えっ!?い、良いっ!何言って…」
グイッと私の手を掴み壁に押し付けるとキスをすると足元に何かが落ちる。
「ゆ、優綺っ!」
「一緒に入ろう♪」
「ちょ、優…」
結局、一緒にお風呂に入る事になり私達は身体を重ねる。
お風呂からあがり、飲み物を作る優綺。
私達はビデオを見る事にした。
数時間後――――
「優綺、次、何観…る…」
キスされた。
「ビデオはいつでも観れるよ。別の事で楽しまない?」
ドキン
「えっ?」
再びキスをされ、お姫様抱っこするとベッドに降ろしキスをされ、一旦、唇が離れ、再びキスをされ何度も角度を変える中、時折、深く優しいキスを繰り返す。
声が漏れた。
「…優…綺…待って…私達は…」
「歌音…何も考えなくて良いから俺に全て委ねな…歌音との時間過ごしたくて、お前誘ってたのに…待ちぼうけさせた…」
「……優綺…」
「イブだからとか関係ないから…お前が好きだから」
ドキッ
「優綺…」
「だから安心して良いから」
私達は一つになる。
「歌音…愛してる…」
ドキン
「優…綺…」
私達は見つめ合う。
「俺と付き合ってくれる?」
「…優綺…本当に…?」
「嘘ついてどうすんの?」
「…そうだけど…何か…信じられなくて…」
「信じて良いんだよ。もう一度言う。俺と付き合って!俺だけの彼女になって!」
「…優綺…うん…」
私達はキスをし深いキスをする。
「…歌音…もう一回しよう♪」
「えっ?」
「恋人同士になったから♪」
私達は再び身体を重ねた。
優綺、これからも宜しくね♪
恋のペアチケット ハル @haru4649
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます